







6月初めにロタDLNR(資源省:Department of Lands & Natural Resources)の署長デビットから サバナ高原に造成したロタコーヒー栽培の試験農園「サバナコーヒープランテーション」の写真と 近況報告が久しぶりに届きました。
この「サバナコーヒープランテーション」コーヒーの木は奥深いジャングルにあるフォレストコーヒー自生地アスアコド地区から1年前に 採取してきた背丈30pほどの若木を植えたものです。 今回送られてきた写真から、それらが今では人の胸くらいの背丈まで成長し、疎らですが、実を付けているのが分かります。 ズブの素人が植えて、僅か1年で実を付けるというのは、ロタの自然環境がコーヒーに合っているという証です。
しかし、サバナコーヒープランテーションはまだまだ手入れが十分とは言えません。コーヒーに日陰をつくるための樹がまだ十分の植えられていません。コーヒーは日陰植物なので、 長時間の直射日光は良くないのです。また、台風からコーヒーを護るための樹木も見当たりません。さらに野生鹿の食害はすでに起こっていますが、 それを防ぐための防護柵が見当たりません。
現在、ロタにはかつてのスペイン統治時代にフィリピンから食用として持ち込まれた小型の鹿(キョン)が野生化し、たくさん生息しています。 米国政府によって厳格に保護されており 年間2カ月ほどの狩猟解禁期間内に定められた頭数の狩りしかできません。すなわち、コーヒーと鹿との共存体制を布く必要があります。因みに、 これらの鹿はロタ島民たちの貴重な食料となっています。
グッドニュースもあります。コロナ過が猛威を振るった期間(2020年始め〜2022年始め)は政府機関が休みとなり、DLNRスタッフも解雇状態にありました。 しかし、2021年のデルタ株が収まった頃と2022年のオミクロン株が下火になってからは政府機関も平常に戻りました。そして、 バイデン政権になってからは、米国政府からマリアナ政府(ロタ政府のキャピタル)や島民個人へコロナ復活支援金が潤沢に入ったようです。
その支援金によってロタコーヒープロジェクトも多少の恩恵を被ることができました。鹿の食害対策用の防護ネット購入資金、 800本ほどの苗木の管理費用、さらに、サバナ高原へ行くための4輪駆動トラック購入資金等々に予算が付いたそうです。 ようやくここまで辿り着いたかという感があります。2017年にゼロから始めた「ロタコーヒープロジェクト」にマリアナ政府の予算が付いたのは 大きな前進です。このマリアナ界隈では政府の財源を当てにしたプロジェクトはことごとく失敗しています。我々は政府のお金を当てにせず、 身の丈に合ったやり方で来たので、ここまで来れたのだと思います。
我々もコロナ禍の所為で2019年から3年間ほどロタへ行けていません。ロタとの付き合いは30年ほどになりますが、これほど長いご無沙汰状態は 初めてです。だから、実際にそのプランテーションを見ていないので確かなことは言えないのですが、デビットに「購入済みの防護ネットは早く設置した方がいいよ」というと 「専門家に見てもらってから」という。また、「DLNRの敷地で苗を800本ほど育てている」というから「早くサバナに植えたら」というと、 これもまた「専門家にみてもらってから」という。デビットの云う専門家はUCC農事室長の中平さんのことです。彼ら的に何か確認したいことが多々あるようです。
デビットには8月後半に中平さんのロタ訪問があることを伝えてあります。というのは、NHKBS放送で「ロタコーヒープロジェクト」のドキュメンタリ―番組(尺89分)が 決まっており、その現地撮影が年内に8月、10月、12月と3回実施されます。その時に撮影スタッフと一緒に中平さんのロタ訪問も予定されています。 また、日本国内での撮影は今年初めから始まっています。放映は来年(2023年)2月の予定です。
今週初めにビックニュースが飛び込んできました。週に3便ですが、 9月1日からユナイテッド航空が成田〜サイパン便(160人乗り)の運航を予定しているということです。グアム経由でなく、ダイレクトにサイパンへ行けるのです。 ついにロタコーヒープロジェクトへ風が吹いてきました。現行のユナイテッド航空のグアム経由は時間もコストもかかるし、何よりもグアム空港での 乗り継ぎが面倒臭いのが欠点です。あわよくば、今後、この便を週2便ほど成田からロタへダイレクトに飛ばしたいものです。過去、 我々が開催した「ロタブルートライアスロン大会」のチャーター便としてユナイテッド航空が同型機(160人乗り)を成田〜ロタ間に10年間ほど飛ばしたことがあります。 だから、全くの新路線と違い、テスト飛行や空港調査等々は不要なのです。今後、コーヒー産業が確立でき、経済が動き出せば、その可能性は大です。