昨年の11月27日(木)~12月8日(月)にかけてロタ島とサイパン島へ行ってきました。ロタへの訪問は1年半ぶりになります。サイパンへは昨年3月に「サイパンマラソン2025」のお手伝いで訪れています。
今回のロタ島訪問の目的はシンプルです。ロタのジャングル奥地にあるコーヒー群生地「アスアコド地区」を世界自然遺産に登録することです。
具体的にはサイパンにある北マリアナ諸島政府(CNMI)のトップであるアパタン知事に我々の考えを示し、賛同してもらうことです。なぜなら、世界遺産への登録は、我々日本人ではなく、CNMI政府が米国政府を通してユネスコへ働きかけることから始ります。事務的には、米国政府がロタのジャングル奥地にある手付かずのコーヒー群生地「アスアコド地区」をユネスコ世界自然遺産へ推薦することです。「ロタコーヒープロジェクト」において、我々日本人がボランティアとしてできることは2017年から現在まで9年間をかけてすでに全てをやり遂げたと思っています。ここから先は彼ら島民たち、すなわち、ロタ島民とCNMI政府の仕事と思っています。
2017年に発見した手付かずのコーヒー群生地「アスアコド地区」を世界自然遺産に登録することで、北マリアナ諸島(CNMI)のキャピタルであるサイパンへ観光客と国際線を同時に呼び込もうという考えです。観光産業復活のポイントは観光客と国際線を同時に呼び込むことです。どちらかが欠けても上手くいきません。そして、この二者を同時に呼び込めるのは世界遺産だけで、それ以外には方法がないと思っています。
2020年のコロナパンデミック以降、ロタだけでなく、サイパンも観光客の減少で経済が相当に疲弊しています。ハイアットリージェンシー等々の大型リゾートホテルの閉鎖が目立ちます。さらにDFSも撤退しました。このままでは島民の仕事がなくなります。そんな事情があり、先ずは、キャピタルであるサイパンへ観光客が来ないと、離島であるロタへの観光客は期待できません。
そして、ロタにある「アスアコド地区」を世界自然遺産へ登録する見返りにロタに対し、CNMI政府から「ロタコーヒープロジェクト」を前進させるための予算とマンパワーを捻出する考えです。まさにウィンウィンの関係です。ちょうど1年前(2024年1月)にアメリカンファーストを掲げてトランプ政権が誕生し、その途端にCNMI政府への補助金が大幅にカットされました。それを受け、今後ロタだけのマンパワーと資金力だけでは「ロタコーヒープロジェクト」を前進させていくのは到底無理と感じました。そこで閃いたのがコーヒー自生地「アスアコド地区」の世界自然遺産化です。
大西的には、アスアコド地区が世界自然遺産の価値があると感じていても絶対の自信があるわけではありません。そこで、アフリカや中南米等々、世界中のコーヒー生産地を訪れ、実際の現場を知るUCC農事調査室長の中平さんに世界自然遺産のアイデアを相談しました。その結果、中平さんから「やってみる価値はある」という回答を得ました。これで迷いはなくなりました。すぐに、CNMI政府のアパタン知事に面会のアポを取りました。面会は12月3日(水)の1:30pmです
11月28日(金)、ロタへ到着し、ロタDLNR(国土天然資源局)の局長デビット・カルボたちと2022年にサバナ高原に造ったコーヒー農園を視察に行きました。この農園を造った目的はアスアコド地区を訪れた観光客へのお土産としてのコーヒー生産拠点です。3年前にジャングル奥地のアスアコド地区から移植したコーヒーの木は確実に成長して実を付けていました。しかし、移植の本数は、案の定、前回訪問時の1年半前から増えていませんでした。これを見て、弱小ロタの資金力とマンパワーだけでは、これ以上の進展は望めないと思いました。やはり、アスアコドを世界自然遺産にして、CNMI政府から資金援助を受けるしかないと確信しました。
しかし、なぜか、デビットは世界遺産登録に同意しません。対象となるアスアコド地区はデビット以外にも数人の土地所有者がいるようです。同意しない理由ははっきり分かりません。この辺の地元特有の問題は我々日本人が口出しできません。でも、デビットはCNMI政府からの資金援助を強く望んでいます。ローカル同士、CNMIの予算に全権を持つ知事とデビットが直接話をして解決する以外に方法はありません。但し、12月3日の面会で知事が世界自然遺産への登録に賛同したら、の話ですが。
翌29日(土)、ソンソン村にあるロタDLNRのオフィスでコーヒー豆の焙煎をしました。ロタへ発つ前に日本からデビットにコーヒー豆を摘んで乾燥させておいて欲しいと連絡しておいたものです。目的はサイパンにあるCNMI本庁舎でのアパタン知事との面会時にロタコーヒーを飲んでもらうためです。アパタン知事は前知事パラシアスの急死で、急きょ副知事から知事に就任され、まだ半年ほどと日が浅く、ロタにコーヒーがあることをご存じありません。だから、先ずは飲んでもらって本題へ入るのがベストと考えました。デビットには知事からロタコーヒープロジェクトへ継続的に予算を捻出してもらえるように交渉するだけと伝えていました。あえて、今後、知事がどう判断するか分からない世界遺産の件は話していません。
12月3日(水)、サイパンのキャピタルヒル地区にあるCNMI本庁舎でアパタン知事に面会しました。その時、本題に入る前に知事にロタコーヒーを飲んでもらおうと会議室でコーヒーを淹れる用意をして待機していました。マリアナ政府観光局長や知事の主要スタッフが集まり、最後に知事が会議室に現れました。そのタイミングでコーヒーを淹れ、知事だけでなく、出席者全員に試飲してもらいました。評価は上々で知事は美味しいとお代わりをしていました。
会議室の雰囲気が和んだ頃に知事が「このコーヒーは幾らで販売するのか?」と。知事は我々がコーヒーを売りに来た業者と勘違いをしたようで、急いで本題に入りました。今日に至るまでのストーリー動画を観せながら説明をするうちに、知事を始め、知事スタッフたちもロタにコーヒー群生地があることに驚いていました。どん底のCNMI観光産業を復活させるには、観光客と国際線を同時に呼び込める世界遺産の力を借りる以外に方法はないと力説しました。我々が2018年に発見したアスアコド地区は世界自然遺産に匹敵する価値があること、その見返りとして、ロタコーヒープロジェクトに携わるデビットたちに継続的な資金援助をして欲しい旨を伝えました。最後に、デビットたちが世界自然遺産登録に同意しないことも伝え、CNMIトップの知事自らがデビットと話をして欲しいとも伝えました。
アパタン知事は我々の話を理解してくれ、アスアコド地区を世界自然遺産にして、CNMIの経済を復活させたいと希望されました。その前にデビットとも話をするということでした。また、そこが一番の問題だとも話されていました。