サイパン島一周自転車の旅
〜ヘル・オブ・マリアナを通して〜
「Hell of the Marianas 2024」に招待されて〜
【サイパン初入国】

12月5日の夜、空港を降りてまずパスポートを見せたり指紋をとったりして、サイパンに入国した。

その後空港を出るときに英語で何か話したがよく分からなかった。サイパンはもう真っ暗で蒸し暑かった。また、日本との時差は一時間しかなく、日本より早かった。宿泊先のひまわりホテルはガラバン地区にあり、街は明かりがついていて中心地だと案内してくれた方が教えてくれた。

【マリアナ政府観光局によるスペシャル・ホスピタリティ】

翌日の朝食は、ホテル下のスーパーでおかゆを食べた。鍋に入ったおかゆを自分でよそうというもので、日本でも食べたことがあるような味でとても美味しかった。

その後エドさんという松永さんや大西さんの知っている現地の方のところに行き、レンタカーで案内してもらいコースの下見に行った。道がガタガタしている場所や、難しそうなポイントなどを事前に知ることができ、坂などは結構きつそうだなと感じた。帰ってきてメンバーと街道を自転車で走ってみた。右側通行で車もいっぱい通っていて最初は戸惑ったが慣れてくると大通りを走るだけなので走りやすかった。レースのコースを反対から少し回りバンザイクリフまで行き、そこで観光してからホテルに帰ってきた。

【緊張の海外初レース】

12月7日大会当日は、朝4時頃に起き、メンバーと、同じホテルの他の日本の方たちとレースのスタート地点に向かった。到着したときは暗くてライトが必要だったがスタートする頃にはだんだん明るくなってきていた。

最初は順調だったが途中で曲がるところがあり、そこで曲がったら道がわからなくなり現地の警察官に聞いた。ところが、案内された道はコースとは違っており、それにより大きなタイムロスとなってしまった。困ってメンバーと止まって道を考えていたら現地の方が車で先導して道を教えてくれた。その後、先ほどとは違う警察官が来て、車で道を先導してくれた。途中で給水所に寄ったあと、横道に入って行くとすごく急な坂があり景色は綺麗だったが、そこから私は急激に疲れてしまった。

【現地の人たちとの交流】

2回目の折り返し地点の後の登り坂あたりから、ハンガーノックになってしまい、給水所まで戻るのにすごく時間がかかってしまった。給水所の方たちが優しく声をかけてくれてわかりやすい言葉で励ましてくれたことに救われた。

そこでたっぷりと水をもらい椅子でも休ませてくれた。ふたたびゆっくりと走っていき、途中で補給食を食べたら少し生き返った気がしたが、もう少し早くから食べていれば良かったと今では思う。その後、後ろから二人の仲間が来て合流した。そこから三人でまた坂を登った。とてもつらく歩いて登ることになってしまった。

登りきったところには松永さんたちがいて、このまま走り続けても制限時間に間に合わないという知らせを聞いた。残念ながらそこでリタイアになってしまった。その場には、先ほど給水所で水を渡して応援してくれた方たちが待っていてくれて、私たちを優しく励ましたり頑張ったねと言ってくれたりして、とても嬉しかった。

【来年こそは完走を!】

今回のレースは、これまでのレースで一番きつく大変だと感じたが、メンバーと一緒に走れたことはありがたく、心強く楽しいものだった。

しかしハンガーノックとリタイアは、初めての経験であり本当に悔しかった。これを克服し、再チャレンジして、次こそは完走を目指したいと強く思った。レースの後に食べた現地のハンバーガーと大きなポテトは、心にしみて美味しく感じた。

【南の島の楽しいアワードパーティ】

レース終了後の夕方からは、出場者が参加できるパーティーがあり、ドリンクや様々な料理がたくさん用意されていた。

皆で現地の踊りを観たりバンドの人達の演奏を聴いたりした。とても賑やかでいろいろな国の人が集まり楽しかった。そこで表彰式があり、同じメンバーの井上さんが年代別で優勝していてとてもすごいと思ったし、井上さんを目指して頑張りたいと思った。最後にパーティー参加者全員で写真を撮った。主催者や周りの方たちは皆フレンドリーで優しく楽しかった。

【島内観光、マニャガハ島へ】

大会翌日12月8日にはモーターボートでマニャガハ島に行った。海の水がすごくきれいで澄んでいた。

とくに初めて野生のウミガメを見ることができとても嬉しかった。きれいな魚と戯れながら長時間潜っていて、たくさん日焼けをしてしまった。その後お土産を買いに行き、面白いものや見たことのないものがたくさんあり選ぶのに迷ったが、可愛いキーホルダーやチョコレートなど、良いものが買えて良かった。

【人生初の大きな旅】

その夜、メンバー全員でホテルの居酒屋風の食堂で打ち上げをした。日本食がたくさんあり、私はマグロ丼をメインに、たこ焼きやポテトフライ、カレーなどを少しずつみんなと食べ、とても美味しかった。サイパンの様子やレースのことなど、話は盛り上がり、より和んだと思う。

今回「ヘル・オブ・マリアナ」に参加することができたことで、同行した皆さんと深く関わり合い、現地の方の温かさに触れることができた。そしてまた自転車を頑張っていこうという気持ちになり、本当に大きな旅であったと感じた。

【朝食はビーチマック】

最終日12月9日の朝、海岸近くのマクドナルドに行き、ハッシュドポテトとスプライトを注文した。サイパンの海を見ながらの朝食はとくに味わい深いものだった。その後、空港に向かった。

【初の海外、貴重な経験】

成田空港に到着した。日本はすごく寒かった。しかし、慣れている日本に帰ってきて少しホッとした。今回の旅は外国に行くということで不安に思う気持ちもあったが、メンバーと一緒に行動し、レースでも今までにない経験をすることができとても充実したものだった。

また、レースだけでなく海外のことやいろいろな知識、例えばドルで計算したり、サイパンの風習などの雰囲気を感じることができたりして、とても勉強になった。この貴重な経験を高校生活にも繋げたい。もちろん、ヒルクライムシリーズで良いタイムが出るよう練習を積み、そして、「ヘル・オブ・マリアナ」で完走できることを目指したい。

PS.
帰国後、以下の現地新聞2紙に記事が掲載されました。
Saipan Tribune
Marianas Variety

青梅市サイクリング協会所属、菅生高校1年生
2024/12/30 小沼 美桜