2015年4月5日(日)
4月5日(日)、曇り空の下、第17回目となる上記大会を開催しました。
天気予報通り、早朝6時頃、小さな雨が降って いました。 前日にテントの設営や横断幕の設置、それに嵩の大きい参加賞やオレンジの段ボール箱等々を搬入しておいたのは正解でした。 屋外スポーツの宿命で、天候だけはどうにもできません。
雨を覚悟で大会会場「風の子太陽の子広場」へ行きました。会場へ着くと雨はほとんど止んでいました。結局、この日は雨に 祟られることはなく、 寒くもなく、トレランレースのコンディションとしては上々でした。
しかし、高水山や白岩辺りは寒かったそうです。山中の担当スタッフの皆さん、ご苦労様でした。
昨年から使い捨て計測タグ(前もって郵送)を採用しているので、朝の慌ただしい受付業務がなく、スタッフ全員にゆとりが ありました。昨年は参加賞をスタート前に手渡したので、長い行列が会場の外までできてしまい、慌てました。その反省で、 今年はゴール後に手渡すことにしました。
しかし、我々以上にゆとりがあったのは参加者のように感じました。朝の受付がないので、これまでより1〜2時間遅く会場に到着しても 大丈夫だからです。
極端に言えば、計測タグとゼッケンを家から付けてくれば、スタート時間の1分前にスタート地点に並べば良い訳です。 スタート前には 我々運営サイドにも、出走する選手にも余裕があった方がいい。
このシステムは、我々がネオシステムに無理を言って、一昨年前の「みたけ山大会」から導入してもらった新システムです。 トレラン界の老舗大会として、時代の流れを先取りして行かないといけないと思っています。
午前7時頃に60人ほどのスタッフが大会会場に集まってきます。気心の知れたKFC組の60人です。地元青梅だけでなく、 東京23区(葛飾、世田谷、豊島区、墨田区)、三多摩(立川、小平、日野、町田、八王子)、神奈川県(横浜、葉山、逗子)、 千葉県、埼玉県などからやってきます。
年に一度この日にだけ顔を合わすだけの人もいます。皆が広範囲に散らばっているので、 ミーティングなどはできません。大西が前もって送る 運営役割表だけで動きます。
しかし、この60名のほとんどがトライアスロンやトレランや山屋(ロッククライマー)の経験者で、10年以上の長きに亘り、この大会に 携わっています。皆、自分は何をすべきかを心得ており、責任感も強く、その日だけの即席ボランティアとは大きく違います。
そして、ほぼ全員が持場は毎年固定で、それぞれの特技を生かせる ポジションに張り付きます。もちろん、山屋は山の厳しい部分に張り付きます。いわゆる、スペシャリストです。皆、 一人5人分くらいの仕事が こなせる能力があります。
これらKFC組だけで会場運営から榎峠までの約10q間をカバーします。それから奥は成木8丁目の白岩地区の人たちや成木7丁目の 地元の人たち 中心となって、地元の利を生かしてカバーして下さいます。
そして、9時頃になると、会場担当スタッフを残し、山部隊(山中のコース上で誘導、救助を担当)は各々自分の持ち場へ出発して いきます。 特に、山の救助班は、元消防士、山屋、トレイルランナー等々で、応急措置もでき、必要とあらば、怪我人を担いで下山する力も あります。 頼もしい仲間です。
9時頃になると、雨と云う天気予報にも拘らず、電車が青梅駅に着く度に大勢の選手がやって来ました。 会場である 「風の子太陽子の広場」は 永山公園の裏手にあるため普段は寂しいものです。しかし、この日ばかりはカラフルなトレイルランナーで 溢れかえります。
今年も 午後8時50分から3・11で亡くなられた方への黙とうを1分間行います。この日が近づくと、日本中を震撼させた3・11の 津波シーンと 2011年度大会での異様な空気が脳裏に甦ります。
続いて、竹内青梅市長のスピーチで開会式が始まり、続いて、 恒例のエアロビクスで会場が盛り上がります。
10時に30q部がスタートしました。最後尾には走力のある2名が追上スタッフとして付きます。その30分後に15q部がスタートして 行きました。 11時半頃には15q部のトップグループがゴールしてきます。そして、12時過ぎからは30q部のトップ選手がゴールしてきます。 その後、 途切れることなく、続々とランナーがゴールしてきます。
その頃から救護班が忙しくなってきます。マラソンと違ってトレランは怪我が付き物です。怪我と言っても転倒による擦過傷が ほとんどです。
KFCには優秀な看護士が2名おり、テキパキと怪我人の処置をしていきます。傷口が大きく病院での処置が必要な怪我人には、 看護士の指示で、傍で待機している病院搬送班のスタッフが直ちに車で青梅市民病院の救急へ搬送します。
今年は怪我人約30人、病院搬送1名でした。
これとは別に、午後1時半頃、表彰式の準備をしている時、栗平地区の尾根道担当のスタッフから救急車の要請が 入りました。 転倒による大腿部骨折と云うこと。
表彰式を少し遅らせて、会場に待機中の消防署員に事情を説明し、救急車を手配してもらいました。 本大会は立ち上げ当初から青梅消防署には手厚くサポートして頂いています。
30q部の選手で、高水山を折返し、ゴールに向かっている時、栗平辺り(約25q地点)の尾根道で転んで、コースから転落しました。 この辺りは時間的に脚疲労がピークになるのと、上り下りを繰り返すという地形的な理由で転倒の起き易い場所です。
だから、毎年、 密に救護班を配置し、 手厚くカバーしている部分でした。過去に2度、この辺りで転倒骨折が発生しています。最初の時はヘリで 吊り上げて、病院へ搬送しました。 この時はヘリ事件として大騒ぎになりました。
直ちに近くにいたスタッフ2名で、怪我人(女性)をコース上に引き上げました。その時、幸運なことに、後続ランナーが整形外科医の 先生でした。超が付くほどラッキーでした。その選手の指示を受け、木の枝とテーピングで骨折した足を固定しました。
その頃、元消防士のスタッフも駆けつけてきました。さらに幸運なことに、東京都レンジャーの方も駆けつけて下さいました。そこで、 スタッフ持参のノコギリで木の枝を切り、皆で協力して、ロープ、ウレタンマット等々を材料に即席の担架を作りました。
また、お医者さんとは別に救助を手伝って下さった選手はハサミ、テーピング、体の保温シートを背負って出走されており、 汗が引いて寒くなった怪我人の身体を保温シートで包むことができました。それにしても、ここまで用意周到で出走する選手は あまりいないと云うか、珍しい。でも、 非常に助かりました。
そして、足元に気をつけながら、事前に手配した消防レスキュー隊員が上がって来るはずの15kmコース分岐の急坂上の地点まで約200mを 担架で 搬送しました。すると、何と、消防レスキュー隊員は10名以上で来られました。そして、 プロのレスキュー部隊にバトンタッチし、安堵。
整形外科医の選手、保温シートの選手、競技中にも拘らず、救助活動を手伝って頂いて、本当にありがとうございました。
因みに、大会が終了し、片づけを終えた後、担当スタッフと入院されている病院に行きました。既にご家族も来ておられ、 選手は骨折されている にも拘らず終始笑顔で話され、安心しました。
また、大会翌日、救助を手伝ってもらった選手に、その後の経過報告とお礼のメールを送りました。保温シートの選手から 以下の嬉しい返信メールが届きました。
「あらためて、しっかりとした運営体制やボランティアの皆様の姿勢に、歴史ある素晴らしい大会だと思いました。 私が遅くなるかもしれないからと、荷物預かり担当が預けたカバンを別にしておいてくれたのです。私にまで気を回して頂き、 感謝です!無事、4時間30分ぐらいでゴールできました。 怪我人さん、山を嫌いにならないと良いですね。バッチリ休養して、 また山でお会いできる日があるのを祈っております。運営、お疲れさまでした! またイベント参加します!」
近年、外国の方からKFCの大会に参加したいけど、どうすればいいのですか、というメールが来るようになりました。 本大会にはオーストラリアから1名、サンフランシスコから2名の参加がありました。ゴール後、大興奮で日本の山(トレラン)の 感想を話して いました。
例え3名と云えども、日本在住の外国人ではなく、参加するためにわざわざ来てくれるのです。有難いことです。また、2月の 「第1回南伊豆グランフォンド」には香港から5名の参加がありました。皆、ホームページを見て、参加したくなったとのこと。 恐るべし、 インターネットの力!
TBS「噂の東京マガジン」のように、マスコミにハイカーとトレイルランナーの軋轢を作為的に取り上げられ、 今、トレイルランを 取り巻く環境が大きく変わろうとしています。
大体にして、トレイルランナーも時にはハイカーであり、その逆もあります。ハイカーと トレイルランナーを明確にグループ分けして論じることに問題があるように思えます。
昨夏、東京都環境局から我々KFCに「自然公園利用ルール案作成」に当たってヒアリングを行いたいと連絡がありました。
そして、 担当者の方にお会いして話を聞きました。担当者の方はハイカーでもあり、トレイルランナーでもある方で、東京都のハイキングコースの 現状やトレランの知識も我々よりずっと豊富で、気持ちのある方でした。規制好きの役人イメージとは全然違いました。
トレランと云うスポーツを山間部の地域活性化に最適なイベントであるという捉え方も、我々と全く同じ考えでした。また、今後、 トレランが発展していくためには、ある程度のルールは必要というのも、我々と同じ意見でした。
今、トレラン愛好家やトレラン大会で地域活性化を目指す人たちの間で、トレランを抹殺するような 厳しいルールが作られるのでは ないかと 危惧する意見が多くあります。しかし、担当者は現状をよくご存じです。そんなことは決してありません。
そして、東京都は、 トレランを縛るのではなく、スポーツとして、今後益々発展するためのルール作りをしたいと云うことです。
また、国(環境省国立公園課)も、同時並行で、国立公園内におけるトレラン大会の取り扱いに関して利用ルールを作成しています。 2月に、 その説明会に出席して、担当者の話を聞いてみますと、ルール案の文面(は全て禁止)と違い、絶対に全て禁止という訳ではない と説明されました。 それなら文面にもそのように書いて欲しいと思います。我々下々の者は混乱します。
それにしても、トレランがこれほど世間から注目される時代が来るとは、驚きです。 本大会を立ち上げた17年前には想像すらできなかったことです。人生、何が起こるか分からないものです。
来年の第18回大会の参加賞は3徳ナイフ(右写真)に決まりました。ナイフとハサミとヤスリ兼マイナスドライバーが備わっています。
大きさは5.5p×1.5p×0.5pで、特に薄さに拘りました。薄いほど携帯に便利だし、スマートに見えます。よって、 カバーはプラスティックではなく、ステンレス製にしました。
以前から山に入った時に、ちょっとしたナイフとハサミがあれば便利と思っていました。それにいざと云う時には身を助けます。それはキーホルダーにできるような大きさで、 薄くて軽いものが良いと思っていました。おそらく、これまで3徳ナイフを参加賞にした大会はないと思います。
ところが、価格が予算内で品質の良いものを探すのに時間を要しました。低価格の3徳ナイフは、一見格好は良いのですが、安全すぎて切れない等々、 品質の良くないものがほとんどです。切れないナイフはただのゴミですから却下です。どうしても参加賞にしたかったので、結局、特注で制作してもらいました。 切れ味はシャープです。
青梅市(後援) 高水山常福院 成木7丁目自治会 成木8丁目白岩自治会 成木8丁目栗平地区 一般社団法人里仁会 賢治の学校 青梅山林災害対策協議会 東京都森林組合青梅事務所 佐藤スポーツ トライスポーツ、西東京市役所トレランクラブ、ホテルコンフェスタイン
写真提供:小野口健太、播本明彦、武智佑真、舘岡正俊