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4月3日に青梅市で「第13回Lafuma青梅高水山トレイルラン」を予定通り開催した。
今年に関しては、その約3週間前の3月11日14時46分に発生した東日本大震災を語らずにはいられない。
この衝撃的な出来事を境に日本中が固まり、萎縮し、静まり返りってしまった。そして、 陽気な祭りごとであるイベント開催に関して、国中が一斉に自粛ムードに陥ってしまった。スポーツイベントもその種類を問わず全国各地で中止発表が相次いだ。
特に、行政が主催するイベントは100%中止になった。この惨状を考えれば仕方のないこと。
しかし、我々は震災直後から中止することは考えていなかった。
被災者を愁い自粛と云う気持ちも理解できるが、被災者が復興するためには、 物資、医療、マンパワー、それにおカネという現実的なものが必要となる。
こんな時こそ元気な地域が被災地を支える運動や行動を起こすことが大切で、自粛して、じーっとしていても被災者のためには決してならない。
もちろんイベントの種類にもよるが、 トレランは山を駆けるだけ、電気も石油も水ボトルも必要としない。
だから、例え微力でも、義援金集めのチャリティー大会として開催するべきと考えていた。
それに、1995年の阪神大震災の体験から、1週間も経てば、復興が始まり、被災地におカネが必要になることを学んでいたからだ
しかし、実際には、阪神大震災と比べて、被害の規模が大き過ぎ、1週間では復興が始まらなかった・・・。
阪神の場合はピンポイントで、しかも地震だけ。しかし、東日本の場合は、広範囲で、しかも巨大津波が加わり、 さらに、先の見えない福島原発事故が追い打ちをかけたかっこうだ。
開催に対しては、賛同のメールも多数あったが、反対するブーイング・メールも届いた。中には、非国民扱いの非難するメールもあった。
しかし、非難のメールはその当時の感情から生じたものであって、3週間後の大会日にはその人の考えも、世間の状況も変わっているはず。どんな傷も、いつかは癒えるものだ。 開催の意思がぶれることは全然なかった。
幸いなことに、地域住民、行政、警察、消防などからも自粛を勧める声はなく、皆開催に協力的だった。
案の定、3週間後には自粛はやめようとの声が巷に出始めた。そして、その第一声はアメリカの新聞からだった。 盲目的な自粛は日本の経済活動をさらに沈滞させ、 復興が遅れるというものだった。アメリカ人には蔓延する自粛ムードが異様なものに映ったらしい。
競技運営とは別に、義援金集めのチームを作ることにし、ボランティアを募集した。有難いことに大勢の人が申し出てくれた。地元からだけでなく、 23区、千葉、横浜、長野からも応募があった。
当日、会場では競技運営を担当するスタッフと義援金集めを担当するスタッフに分かれて動いてもらった。
競技運営は例年同様にKFCが中心で、義援金チームは宮地藤雄くんと沢野有希さんにリーダーをお願いし、ハンドリングしてもらった。
大会当日、予想を超えてエントリー総数2200人中1700人ものランナーたちが集まってくれた。 時期が時期だからエントリー総数の半分くらいかなと予想していた。
今年、例年と大きく違ったのは外国人選手の受付人数が極端に少なかったことだ。 この大会は首都圏ということで、いつも外国人参加者が多い。 しかし、福島の原発事故による被曝を恐れて関東一円から外国人が消えたのだ。話には聞いていたが、目の当たりにするとちょっとビックリだった。
大会会場は、例年と変わるところなく活気にあふれていた。しかし、どこか違う空気も感じた。それは、皆、巨大津波に押し流された東北の惨状を愁い、 また、先の見えない現在進行形の福島原発事故が頭から離れないのだ。この国の将来に対して、漠然とした危機感と不安を抱いているのが感じ取れた。
今年の大会のオープニングは震災で亡くなられた方への1分間の黙とうから始まった。
その後、竹内俊夫青梅市長の挨拶、井上信治自民党衆議院銀の挨拶、それに続く恒例のエアロビクスによるウォーミングアップとお決まりの流れだ。 青梅市長は開会の挨拶で自粛ムード漂う中での大会実施に賛同のスピーチをして下さった。
競技は30km部が10時、15q部が10時40分にそれぞれオンタイムにスタートしていった。今年は自衛隊員の選手が少ない。 いつも参加してくれる自衛隊員の参加者から、今年は復興支援に派遣されるので参加できないという連絡が届いていた。
競技の方は予定通り順調に進行し、成功裏に終えることができた。今年はいつになく参加者同士に一体感が感じられた。
ゴール地点では、先に入った選手や観客たちが次々とゴールに飛び込んでくる選手をハイタッチのトンネルで迎えていた。見知らぬ同士なのだが、 復興を願う気持ちが皆を一つにしているように見える。
また、和風マイケル・ジャクソンも登場し、 胸に「元気配信」と手書きしたTシャツでダンスパフォーマスを披露してくれた。
また、義援金の方は目標額の100万円を超えて集まった。
募金箱に約55万円、それに、入賞賞金の一部、KFCグッズの売上金、 LafumaブースでのチャリティーTシャツの売上金、フーレセラピー「あしあと」施術料金などを加えて、何と120万円(1,186,285円)に達した!!
さらに、それと並行して行った「被災地にTシャツを」活動でも約600枚の新品のTシャツが参加者の皆さんから寄付された。
因みに、義援金は120万円にして、その3日後には日本赤十字社へ振り込んだ。この時、多額の義援金振込に際して、 金融機関の窓口で振込人の身分証明書が必要なことを初めて知った。
裏を返せば、免許証などの身分を証明するものがなければ、おカネと気持ちがあっても義援金への大口寄付はできないのだ。可笑しな話だ。 外国ならマフィアでも汚れたカネでも、その国のレッドクロス(赤十字社)への寄付は可能だ。
震災後、関東圏で本大会が初の大規模イベントの開催となった。
そして、イベント会場での義援金集めもそれなりの成果を出すことができた。その結果、 開催を躊躇している他の大会に対して、「もう、自粛は止めて開催と云う積極策に打って出ても大丈夫だよ。」というシグナルを発信することができた。
大会終了後、参加選手から「参加したことで、これでやっと前へ進める気がする。」とか 「チャリティー募金を通して、自分も直に復興を 手伝うことができたことが嬉しい。」とか。他大会の主催者からは「青梅が開催してくれたので、我々も開催しやすくなった。」 等などのメールが届いた。
この度の震災復興には長い年月の時間が必要になるだろう。我々のように被災地でボランティアができないものは、大会を通して義援金を募って、 被災地へ送り続けることが現実的な復興支援のやり方だ。
最後に、来年はスタート地点の変更を予定している。
これまでの永山ハイキングコースの始点から大会会場である風の子太陽の子広場へ移すことを検討している。
これによって、大会会場からスタートとゴールの様子が間近に見えて、イベント自体がより盛り上がったものになるだろう。 それに運営も移動が無くなり楽になる。
イベントは生き物で、状況に応じて変化し続けなければ、存続はできないもの。
来年はもっとエキサイティングな大会にしますので、皆さん、来年の春も青梅でお会いしましょう。
高水山常福院 成木7丁目自治会 成木8丁目白岩自治会 青梅山林災害対策協議会 東京都森林組合青梅事務所 Lafuma 佐藤スポーツ NATHAN
写真提供:小野口健太、舘岡正俊 鈴木裕二 西田光男