イベント報告
第16回ロタブルー・トライアスロン!
2009年11月14日(土)
16th Rota Blue Triathlon !!
■報告 松丸真幸
使用機材
サプリメント
MEDALIST:フリーダム
レースウエア
2XU:エリートトライスーツ
キャップ
2XU:ランキャップ
ゼッケンベルト
2XU:レース用ナンバーベルト
フレーム
CORRATEC: R.T.PRO CARBON
フォーク
CORRATEC: R.T.PRO CARBON FORK
アイウエア
ALPINA:TRI-GUARD 40
コンポーネント
SHIMANO:DURA‐ACE 7900
バイクシューズ
SHIMANO:SH-TR70
ヘルメット
ALPINA:MORANO
ペダル
SHIMANO:PD-7810
ホイール前後
SHIMANO:WH-7850-C50-TU
エアロバー
PRO:ステルスEVOクリップオンカーボン
ハンドル
PRO:ステルスEVO
サドル
PRO:グリフォンゲル
コンピューター
PRO:DIGI-W7
アクセサリー
PRO:ボトルゲージカーボン、バーテープマイクロファイバー
タイヤ
VITTORIA:コルサEVO CX
ランシューズ
SAUCONY:SAM2007
ハートレイト
POLAR:RS800
TEEシャツ
BODYTUNE
成績

優勝

内容

常夏のロタ島。レース前日は、恒例のツーリング。過去最多の28名が参加。レースで使用するバイクコースを案内。 また、登り坂、下り坂の乗り方をアドバイスした。

大会当日も、快晴で気温が高い。午前6時30分にスタート。スイムは、「ロタ・ブルー」と呼ばれる青い海。透明 度の高さは随一。50m下の底まで良く見えるほど。水温が高いので、ウエットスーツは着用しなかった。スイムをトッ プで上陸。バイクをスタート。

バイクは、海岸沿いを走って、やがて約3kmの登り坂が待ち構えている。そして空港道路を折り返して戻ってくる4 0kmのコース。前半は、平坦なので時速も40km前後で走行。バイクは国体時と同じコラテックのR.T.PRO CARBON。 グングンと進む。3kmの登り坂に突入。ここは、きついが2位以下を引き離すチャンスでもある。踏ん張りどころ。登り 坂を終え、あとは、多少のアップダウンは続くものの、特にきついところはない。空港道路を折り返して、登った3k m坂を一気に下る。そして、トップでバイク終了。最後のランへ。

ランは、比較的フラットなコース。但し、日影が少ないので、暑い。油断禁物だ。アキレス腱が完治していなかっ たので、約2カ月ぶりのランニング。今も多少の痛みはあるが、だいぶマシになった。久しぶりのラン。最初は、きつ かったが、うまくリズムに乗って走れた。暑さもそれほど気にならずに走れたので良かった。ランラップ1位の快走で、 トップでフィニッシュ!

感想

日頃のスポンサードありがとうございます。 12月5日(土)のパラオがシーズン最後のレースなので頑張りたいと思 います。

■KFC徒然

2009年11月14日(土)、第16回ロタブルー・トライアスロンを開催した。諸々の準備がある為、約10日前の 11月5日にサイパンに入った。これはいつものパターンだ。

【経済の低迷が続くロタ】

近年、北マリアナ諸島(サイパン・ロタ・テニアン)では観光客の低迷が続いている。

2001年の9・11以降、 JALの撤退、鳥インフル、原油の高騰、豚インフル、リーマンショックによる世界的な景気の低迷等などの悪しき影響を ダイレクトで受けている。経済規模が小さいので直ちに影響を受ける。

最近ではナンバーワン・マーケットである日本か らの観光客も激減している。何処に行っても、本当にびっくりするくらい日本人観光客が少ない。それに反して、増加傾 向なのが中国やロシアからの富裕層の観光客だ。

ロタの場合、サイパンやグアムから必ず乗り継ぎをしなければならず、更に観光客がいない。ホテルもレストランも 開店休業のような状態だ。

当然のことながら、観光収入が減少し、島民も仕事がなくなり、経済状態も悪くなる。最近では、島民は仕事がな い→お金がない→島を出て、仕事があるグアムやハワイやアメリカへ移住するという最悪の構図が出来上がってしまって いる。

なので、観光客だけでなく、ロタ島民自体も少なくなっている。スーパーもエアコンを消し、冷蔵庫を消し、電気を 消し、扉は開けっ放しで、商品棚もスカスカ、ビールもぬるい。すべて電気代の節約だ。こういう有様をみると寂しくなる。 これが続くと、過疎化してゴーストタウンの様になってしまうのでは?・・・心配だ。

【連邦化に戸惑う人々】

そして、観光客には直接関係なさそうで、実は関係大ありの“シュールな”状況が目の前にある。現在、北マリアナ諸 島(ロタ・テニアン・サイパン)は連邦化という過去に経験したことがないほどの大きな変革の中にある。

連邦化とは、2009年11月29日以降、北マリアナ諸島のビザのシステムがアメリカやグアムと同様になるということ。 すなわち、現在マリアナで働いている外国人労働者はほとんどが働けなくなるということを意味している。

これまでは北マリアナ政府で発給されていた外国人就労ビザが発給できず、USビザが必要となるのである。現在、マリアナ にいる外国人労働者がUSビザを取得するのは至難の業である。

目に付くところだけでも、現地の飛行機会社、ホテル、ツアー会社、レストラン、ダイビングショップ等各種のアクティイ ビティ関係etc・・政府関係の職場以外のほとんどの仕事を外国人労働者の労働力に頼っている。そんなマリアナにとっては、全ての機 能がストップしてしまうかもしれない程の重大問題だ。

日本人をはじめ、フィリピン人、韓国人、中国人など多くのマリアナ就労ビザで仕事をしてきた人達にとっては、正に死 活問題で”まな板の上の鯉”状態だ。これまでマリアナで仕事の基盤を作り上げてきた人が、今、急に本国へ帰っても満足 な仕事がないのがほとんどだ。

ところがローカルたちのほとんどはUSパスポートを持っているため、ビザに対しての考えが甘く、親分の米国が何とかす るだろうと高を括っている。ローカルにも、もうちょっと危機感を持ってもらいたいものだが、何かに付けゆる〜いマリアナ ではそうはいかないようだ。

【島民が最も熱くなる選挙】

この時期、ローカルにとっての最大の関心事は4年に一度の総選挙で、それ以外のものにはすべて後回しだ。知事、副知事、 市長、議員等を決める総選挙が11月7日(大会の前週末)に実施される。

マリアナでは自分たちの応援している候補者が勝つか負けるかで、向こう4年間の生活が左右されるのだ。勝てば公務員になれ るが、負ければ、役所はクビだ。公務員は後々年金がもらえるのでマリアナでは人気の職業だ。否が応でも力が入る。

応援してい る候補者が勝てば天国、負ければ地獄、まるでバクチのような ものだ。その投票率は毎回95%を下回ることはないというから、すごい。選挙は4年に一度のマリアナ最大のイベントなのだ。 因みに、マリアナの選挙は親分米国の1年遅れで実施される

マリアナでのイベント開催は、時の政権と良好な関係にあることが絶対条件で、これが構築できていないと開催は絶対に不可能だ。 そんな訳で、我々KFCも常に政界の動向には注意を払うようにしている。

【ビミョ〜な空気漂うロタ】

11月8日(日)夜にロタへ入った。サイパンからロタへ倒着すると、電気の明かりがないので空港まわりはやけに暗い。暗く感じる。その代わり、 星がきれいだ。その数も多いし、一つひとつが大きく輝いて見える。8時頃にいつものロタリゾート&カントリークラブへチェックインした。

翌月曜日にメイヤーズ・オフィスでロタブルー・トライアスロン開催委員会ミーティングをして、 週末の大会までの最終の準備に入るのがお決まりのスケジュールだ。今年は、現メイヤー(市長)ジョセフ・イノス が任期満了の為、メイヤーとしては最後のトライアスロンの催すことになる。

現政権末期の時期に当たり、メイヤーズ・オフィスを中心とした開催委員会メンバーがそれぞれ様子見や駆け引きでビミョ〜な 空気だ。皆、勝ち組の有利な方に付こうとするためだ。この時期、毎度のことだが、その動きが丸見えで可笑しい。笑ってしまう。

ただ、ロタブルー・トライアスロンに関しては、すでに ロタ島最大の行事として定着しており、現政権、政権外、次期政権、全く関係ない人々等など文字通り全てのロタ島民がそれぞれの立場や やり方で全面協力してくれる。

16年もやっていれば、何度かこの様な総選挙時期にも当たるものだ。いつもの様な全体ミーティングこそなかったが、トライアスロン 開催には何の支障もない。

次期ロタメイヤーには、現メイヤーの腹心であるメルチオ・メンディオーラが当確しており、メルチオは第2回ロ タ大会でチェアマンをしたこともあり、KFCの仲間の一人だ。

そして、サイパンの副知事には現ロタメイヤーの実弟イロイ・イノスが当選したので、現メイヤーの影響力もそこそこ保たれることになり、 まずまずな具合だ。マリアナの知事選挙は米国大統領選挙と同じで、正と副のセットで立候補することになっている。

【神経を使うスイムレスキュー】

毎年、スイム・コースの設営やレスキュー体制の担当をしてくれるマーク・マイケルが病気の為、ハワイ の病院で治療していた。

いつも いるはずの仲間がいないのは寂しいが、セレナ・ダイビング・ショップやルビン・ダイビング・ショップやブルー・パームスが海関係のすべ てをやってくれる。頼りになる仲間、ありがたい。スイムのレスキュー体制はいつも完璧だ。

ロタ大会の海はサンゴ礁に囲まれたヤワイ海とは違い、迫力のある外洋を使う。ということもあって、 その分リスキーで、いつも天気予報と睨めっこ、神経をすり減らす。過去に一度(第9回大会)だけ海が荒れて、急きょスイムをランへ変更し たしたことがある。

ロタ大会に関しては、スイムの安全確保が最も神経を使う部分だ。

【やる時はやるチャモロ】

島民にとってロタブルー・トライアスロンは大変だけど、楽しく、誇るべきものという位置づけだ。自分達で何もない中からKFCと一緒に作り上げた という自負もある。だから、トライアスロンで来てくれる人は、特別な存在なのだ。フレンドリーで優しく、温かく、歓迎する。

そして、16回目となると、島民達はそれぞれ“何をすべきか” を自覚している。当初の頃と違って、細々とした指示を出す必要はない。

道路整備に関しては、日本で言う役所の土木課がコースにせり出した草や木を刈り、道幅を広げる。路面の悪い所はブルトーザーで砂を入れ、 ローラーをかけるなど、重機を入れての大作業となる。

道路脇の草刈りやコース上のサインボード製作、バイクラックの補修など細々としたもの はマリアナ観光局ロタ支部局長トミー・カルボとその部下たち担当と毎年決まっている。さらに、滑りやすい 海へのスロープの苔をとりやシャワーの取り付けもトミーたちがやってくれる。

その他、交通規制を担当する警察、救急車担当の消防や病院、安全対策やエイドステーションを取り仕切る担当、アワードパーティーの食べ物 を準備する担当、大会会場を設営する担当・・etc。まさに、島民が少なくなったとはいえ、一丸となって、島を挙げて大会を作り上げていく。これ らどの部門が欠けても大会は成り立たない。

普段“のんびり、ゆったり、ゆる〜いアイランド・スタイル”のチャモロ人だが、トライアスロンの時だけは違う。“やる時にはやるチャモロ” に変身する。

【11月13日(金)/恒例の試泳】

現地登録とロタブルー・トライアスロン恒例の試泳が行われた。レース中はのんびりロタブルーを楽しんでいる余裕はない。

だから、試泳の時にロタブルーを堪能してもらうことにしている。ロタへ来て、ロタブルーを体験しないと損だ。加えて、外洋の海 に慣れてもらうのも試泳の大切な目的だ。今年も水中撮影会が並行して行われた。

この海は観光客がお手軽に泳げる海とは違う。完璧なレスキュー体制があって初めて安心して泳げる海なのだ。

今年も宮塚英也選手、白戸太郎選手、松丸真幸選手、松山文人選手が中心となり、泳力により4つのグループに分け、試泳と共にプチ・レッスンも受け られるというとっても贅沢な試泳となった。

しかし、試泳を始めてしばらくすると、風が起こり、海面に白波が立ち始め、東港の出入口にあるサンゴ礁を波が叩き始めた。明日は大丈夫かなと誰も が不安顔になっていた。因みに、かつて第9回大会の一度だけ海が荒れてスイムを中止し、ランへ変更した事があった。

【11月14日(土)/16回目の朝】

16回目の朝がやってきた。何度やってもこの日の朝だけは緊張する。KFCスタッフも島民たちも皆一様に緊張している。例え、どんな ハプニングが起こっても、臨機応変にクリアし、6:30のオン・タイムにスタートさせるように心の準備をしておかなくてはならない。

この時間を基準に今日一日の全スケジュールがセットされているので、ここで躓くと後々の調整が大変だ。どんなレースでも、オンタイムで スタートさせてしまうと、ひとまず肩の荷がす〜と下りるというものだ。

スイム会場へ選手たちが続々とやって来る。スタート会場の空気はピーンと張り詰めており、普段のゆる〜い感じはどこへやら、である。

ナンバリングをし、スタート時間が近づくにつれ、どんどん陽が射してきた。海はベタ凪とまではいかないものの穏やかでいい感じだ。試泳の時 よりは波がなく、コンディションは良い。

今年もスターターは例年通りメイヤー・イノス。イノスはメイヤーとして最後のスターターを務めることとなる。そして、古代のチャモロ人スタイルでほら貝を 吹くのは“生きるロタ伝説?”となりつつあるベン・ロザリオだ。

セレナ・ダイビング・ショップ、ルビン・ダイビング・ショップ、ブルー・パームス、海上警察のボート、それにマーク・マイケルに代わり リン・マイケル率いるレスキュー・カヤック・チームがいつもの様に配置につき、選手のスタート を待っている。

すっかり“ロタの顔”となってしまった宮塚選手、白戸選手、松丸選手。今年は選手として、シェイプアップした身体で参加の松山選手、それに湯本選手等など、 そうそうたるメンバーだ。加え、ロタ大会初参加の選手やその他多くのリピート選手。特別参加として、井上道太選手(14歳)と菅沼健太選手(12歳)。それにグアム やサイパンからの選手で総勢120人程のスタートとなった。

バイクやランでもエイドステーションが数多く置かれ、今年もロタ大会名物のB−B−Qエイドステーションも置かれていた。エイドの他にランコースやバ イクコースで自宅からホース引っ張りだしてシャワーを作ったり、まさに随所で“ロタホスピタリティー”を発揮していた。

【思い起こせば、】

思い起こせば、1994年の第1回大会のスターターもメイヤー・イノスだった。その時、東港でスタートの合図を 待っていた選手は僅か40人ほどだった。

あれから“もう16年、いやまだ16年”・・・先のことは考えるには止そう。なるようにしかならない。

そして、その第1回大会の様子を掲載してくれた「トライアスロン・ジャパン」誌は今年初めに突然休刊になってしまった。奇遇にも、 JAL機内誌の取材で2000年のロタ大会で 始めてトライアスロンと言うスポーツを体験した謝考浩さんとジェロ本多さんが中心になって「トライアスロン・トリップ」誌を創刊した。

今年はその新雑誌が現地取材に 入った。スタッフは7月のグアム・トライアスロン大会に続き、カメラマンはジェロ本多さん、ライターは ミュージシャン小泉二ロさんという布陣だ。

今年も昨年同様、コンチネンタル航空で成田〜ロタ間のロタ大会専用チャーター直行便を仕立てた。トライアスロンの参加者用にチャーター便を飛ばすなんて、 16年前には想像すらできなかったことだ。人生、何か起こるか分からないものだ。

【緊急事態発生!!】

今年も“脱水や事故がありませんように・・・”と祈っていたのだが、今年はランではなく、何とバイクで脱水症に陥った選手が一人出てしまった。過去、 脱水症から多くの人を生還させている我々もバイク・セクションでの脱水は初めての経験だった。

バイク走行中、脱水症状に陥り、意識もうろう、判断能力を失い、下り坂で反対車線に飛び出し、ブッシュへ突っ込み、ヘルメットも大破という事故になっ た。幸い対向車がなく、すぐにレースを中止し病院へ搬送することができた。

当初は脱水症ではなく、ヘルメットの破損状況からバイクでの転倒事故で頭をかな り強く打っていると医師は判断した。しかし、少しずつ経過を観察していると、脱水症の症状を呈していることが分かってきた。直ちに、点滴治療を施してもら い、ことなきに至った。

脱水はランに限らず、バイクでも起こりえる怖い症状だという事を改めて痛感した。おそらく、スイム時にかなりの発汗をしていたのが原因だと推測する。南 の島での海水温は常時30度近くある。

【第一ラウンド、競技終了】

51.5km部の優勝者は松丸真幸選手、2位は湯本優選手、3位は白戸太郎選手。

女子の優勝者は鈴木薫選手、2位は丹羽なほ子選手、3位は木村文選手でした。

また、中学生の井上道太くん(3:28:04)と小学生の菅沼健太(最年少KFCメンバー/ 3:12:27)も見事完走しました。

ハーフ・アイアンマン部の優勝者はCAMERON ONEAL選手(グアム)、2位は小林雄太選手、3位は清水辰生選手。

女子優勝は木村恵子選手、2位は林夏名選手、3位は土屋知恵美選手でした。

CEOチャレンジ部の優勝者は稲本健一選手、2位は後藤玄利選手、3位は向川是吉選手でした。

【第2ラウンド、気合いの入るアワード・パーティ】

レースも終わり、島民たちが最も気合が入るアワード・パーティーは、今年新たに会場を作ったチャモロ・ビィレッジで催された。他の島から“バーベキュ ー・アイランド”“や”パーティー・アイランド”と揶揄されても、そんなものどこ吹く風、お構いなし。

ロタの名に恥じることのない様に、チャモロ流最高級おもてなしの ブタの丸焼き、それに、バーベキューはショート・リブにチキン、お祝いには欠かせないレッドライス、チャモロ料理の代表のチキン・ケラグエン、パンシット、 それに、最近はやりの海老の串焼き、エビ・ケラグエン、タロ芋、パパイヤのピクルスetc・・・まるで南の島の食文化の見本市だ。

それに絶対外せないビール等など、“これでもか” という程に振舞われた。そして、恒例の可愛いアイランド・ダンサーズと生バンドもパーティーに華を添えた。

この時間帯になると、踊り好きの人たちが中央へ出て 老若男女入り乱れてダンスに興じる。ロタの人は踊りが好きだ。放っておけば、朝まで飲んで騒いでドンチャンやるのが普通だ。

しかし、選手たちは疲れているので、 そんな付き合いはできない。毎度、頃合いを見計らって我々が強制終了に持っていく。この辺の駆け引きに神経を使う。最後のトリは小泉二ロさんの即興プチ・ライ ブで締め括った。

【エピソード/頭脳派?天然?松丸選手】

松丸選手は誰もが認めるトライアスロン界ロングディスタンスの第一人者だ。出場した大会は国内外と数知れない。

朝のスタート会場での出来事だ。ナンバリングをしている所へ子供がおしっこを我慢しているように“ビミョ〜”に脚をクロスさせて近づいてきた。いつもの 松丸選手と明らかに違う 様子で、“トイレある・・?”と。“あっ、そっちか・・!”と思ったところ、何とバイクウエア(つなぎ型)を前後逆に着ていたのだ。当然のことながらパッ トが前にある。“MATSUMARU”のロゴもミョ〜な場所に付いている。

その数分後、スイム・スタートの3分前の超忙しい時に、また近づいてきた。見れば、ウエアは前後ちゃんと直っていた。

“携帯ない?”と。聞くと、今度は、“バイクシュー ズをバスに忘れたかも“と言う。

傍にいた旅行会社の人に事情を伝えて、ロタ・リゾートに連絡をとってもらった。しかし、バスの中からは発見されなかった。する と、“あっ!部屋かもしれない!”と松丸選手。ちょっとして天然?

スイム・スタート直前に部屋にあったと旅行社の人から連絡が入った。それで、松丸選手のスイム・アップまでにバイクラックの所へ置いておく事ということで、 スイムスタートして行った。ところが、すでにロタ・リゾートから会場への道は交通規制になっており、なかなか届かない。

そうこうしているうちに、スイムをトップで終え、バイク・トランジッション・エリアでヘルメットを被り、“ボ〜ッ”と突っ立っている松丸選手。バ イクシューズを待っているのだ。

数分後、やっとシューズが届きバイク スタートしていった。その間、湯本選手始め、数人の選手が先にバイク・スタートして行った。白戸選手からは「何してんの?松ちゃん」と突っ込まれていた。

それでも、最後にはトップでフィニシュしたのだから、さすが松丸、実力の違いを見せつけた。

しかし、これだけで終わらなかった。さらに続きがある。

その夜のことだ。アワード・パーティを終え、ホテルに辿り着いた後のことだ。KFCの部屋に気心の知れた友人たちが三々五々集まって来る。年に一度、ロタ大会 でしか顔合わせない者同士もいる、これは毎年 の恒例行事のようになっている。やっと終わったという安堵の空気の中、飲んだり食べたりしながらKFCならではのコアな雑談に耽るのである。

話題が一流スポーツ選手の話題になった時、松丸選手が“スポーツは頭を使って 計算しなければ、勝てません!頭がいい人が勝てるんです!”と“頭脳派”論を展開した。

皆、待ってましたとばかりに、“今朝のバイクパンツとバイ クシューズ騒動も計算づくか?”と突っ込んだのは言うまでもない。そんなこんなでワイワイガヤガヤ早朝まで楽しい時間が続く。

【Special Thanks】

MVA / Mark Michael / SIRENA / RUBIN / Rota Resort & Country Club / Blue Palms / Aqua Gift Shop/ Bay Breeze Restaurant & Bar / BODY TUNE / TRI-SPORTS / System Clinic

写真提供:RUBIN 舘岡正俊 小関さと子 名取さん