2016年7月3日
7月3日(日)、御用邸で有名な葉山町で第4回葉山オープンウォータースイムを開催しました。といっても、 強風のため距離短縮という苦肉の策での実施と なりましたが・・・。
大会前日(土)、大会会場である葉山公園の正面前方に富士山のシルエットがくっきりと見えました。 4年目にして、初めてのことです。
我々にとっては富士山が見えるビーチからエントリーするのは歓迎ですが、地元葉山では、この時期に 富士山が見えると南から強風が吹くと云うので、あまり歓迎されていない様子。その日も、確かに、風はありましたが、 大会に影響するほどとは思えませんでした。
翌7月3日(日)の大会日、会場設営のため、早朝4時半に葉山公園に行きました。地元の人がいう通りで、南風が強く、 砂浜に大きな波がザーッと打ちつけています。昨日とは海の表情が全然違います。
最初、テントを設営しましたが、 飛びそうなので、 すぐに畳みました。準備をしていても、海からの風は強く、浜に打ちつける波の音も聞こえます。 会場で準備に精を出すスタッフの 間にいやーな緊張感が漂っていました。
何度経験しても、こんな状況下での大会運営は嫌なものです。スタートできるのか、できないのか。中止にするのか、 しないのか。何かよい解決方法があるのか、ないのか。そして、その判断は、いつの時点で、どういう方法で、 選手の皆さんや スタッフに告げるのか。
最も気を付けることは、多くの選手やスタッフに混乱を生じさせないことです。 こんなケースでは、 やるかやらないかの判断基準はレスキューチームが海に出られるかどうかです。これがKFCルールです。
2個のブイのうち、1個は昨日設置していましたが、もう1個は大会日の朝に打つ予定でした。ところが、強風のため、 ブイ打ち用の漁船が出航できないと連絡が入りました。漁業組合が出航禁止の措置を採ったのです。
これを受けて、 最悪、中止もあり得ると腹を括りました。先ずは大会実行委員長溝口さんと相談し、中止時の対応も相談しました。
毎年、 海上で選手のレスキューを担ってくれる「BEACH」と 「OCEAN」のスタッフから、この状況下ではカヤックや カヌーは風を受けるので コース上にステイできないと。すなわち、海に出れないとのこと。これらから判断して、 やはりダメかと。
でも、BEACHのリーダー津田さんがボードは風の影響が小さいので何とかなるかも、と言ってくれました。 このアドバイスで、プロのレスキューチーム「ペガサス」が来るのを待って決めようと思いました。なぜなら、 彼らは全員がレスキュー用のボードですから。
予定通り、8時頃に黄色と赤色の目立つウェアを身に着けたペガサス集団がやってきました。今回は16名です。早速、 リーダーの小川さんと相談しました。小川さんはこのコンディションでもペガサスは海に出て、仕事はできるとのこと。 プラス、海の家「HAYAMA Beach House」のジェットスキーはOKとのこと、両者とも頼もしい。
「よっしゃ!」決まりです。昨日打っておいた350m沖に浮かぶブイの往復でレースを実施することにしました。 距離短縮という苦肉策です。開会式の最後に、荒れている海を目前にして、ざわついている会場に変更の旨を伝えました。
4500m部門も、3000m部門も、1500m部門も全員が1往復のみの700mです。これなら単純明快で会場の混乱は生じません。
それに、全国からわざわざ来られた500名もの選手に何もせずに帰ってもらうのは心苦しいという気持ちも解消です。 悪天候を理由に何もしないでの中止は優等生的対応ですが、ある意味無責任でもあり、懸命に練習して来られた選手の皆さんに 申し訳ない。
会場からは拍手に混じって「少しでも、 泳げてよかった!」という声が聞こえました。そして、安全対策として、 この海への慣れとパニック防止にスタート前15間試泳を やることにしました。
かつて、大西は選手として、この程度の海を2〜3回泳いだことがあります。意外と泳げるものなんです。また、 海外のレースは、 これくらいの波風では中止になりません。だから、外国人はこの程度の海は普通に泳ぎます。 スイムに関しては、プールを普通と 考える日本人に対し、外国人はタフだと常々感じています。
レース後、 3000m部門と1500m部門の2部門(ウエットあり)で、参加人数の少ない外国人が初めてとなる1位を 取ったのも その辺の事情と思います。
因みに、本大会参加3度目のオリンピアンの貴田裕美選手は、来月開催のリオ・オリンピックのOWS会場の海は もっと波が高く、冷たいと話されていました。オリンピック会場なのに、そんなに悪いコンディションとは意外です。
スタートは30分遅れの09:30に変更しました。2分毎に6カテゴリーに分けての従来通りのスタートです。スターターは今年も 山梨葉山町長です。
やると決めた以上、選手の皆さんは荒れた海を物ともせず、果敢に泳ぎ出していきました。さすが、 頼もしい 光景です。沖にはペガサスのボード16艇が2列に並んで監視しています。ジェットスキーも大活躍です。 因みに、海水温は25度です。
トップは片岡裕也選手(14:45)、2位貴田裕美選手(15:13)、3位半田虎生選手(16:41)の錚々たる実力者に続いて、 続々と上陸してきます。皆さん口々に「やった!」「楽しかった!」「戻れた!」「死ぬかと思った!」「疲れた!」 「戻れないかと思った!」「短縮で正解!」「前が見えない!」等々。おそらく皆さん蛇行され1500mほど 泳がれたことと 思います。
そんなこんなで無事に第4回大会を終えることができました。選手の皆さんは練習では決して味わうことのできない 貴重な体験ができたと ポジティブに捉えて頂ければ幸いです。
そして、翌日からは穏やかな海が戻りました。この日だけピンポイントで強風が吹いたのです。 人生とはこんなもん、これが人生です。
さて、次は9月の「第1回弓ヶ浜国際オープンウォータースイム」で、 その次は、11月の「第1回ロタオープンウォータースイム」で、お会いしましょう。
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写真:小野口健太、道祖崚生