イベント報告
第2回多摩川源流トレイルラン
2nd Tamagawa Genryu Trail Run
2010年9月26日
■KFC徒然

昨夏、東部森林公園キャンプ場“ほうれん坊”の経営者である小島さんと清水さんの依頼で立ち上げた「多摩川源流トレイルラン大会」も 早や第2回大会を迎えた。このイベントは小菅村の村興しを目的としたもの。

確かに、私たちの地元青梅と比べても村内には車や人影は少なく、ほとんど見かけない。交通量の多い国道20号と小菅村の村道とでは道路と云っても 全く別物だ。それでも上野原警察署の道路使用許可の取得は困難だ。法の適用は地域の人たちの利益になるよう臨機応変さが必要である。 特に、過疎化が進む地域では。

強い希望

トレイルランの話は昨年7月末に持ち上がった。私たちは翌秋の開催を考えていたのだが、一刻も早く立ち上げたいと云う小島さんの強い希望で、 寒くなる前の9月27日に第1回大会を開催した。標高が高い所なので、やるなら9月中の開催にこだわった。そんな事情で募集期間が極端に短く、 昨年度の参加者は100名に満たなかった。

試行錯誤に3年

しかし、今年は充分に時間の余裕があった。募集を5月頃から開始し、定員は300名とした。コースのキャパシティから考えると、もっと多くの 参加者でも全く問題ない。

しかし、村民の皆さんのボランティアが十分確保できるか不安であったし、競技運営のノウハウがまだ育っていない。先ずは 村民の皆さんにレースを見てもらって、競技運営のノウハウを掴んでもらうことが大切だ。こような状況の下、定員を絞ることにした。どんな大会でも 3年目までは試行錯誤の連続だ。4年目でようやく形になって来るものだ。

私たちの地元青梅の大会では、10年が経った今、約150人もの地域の人たちがあうんの呼吸でテキパキと動き、約2000人もの選手をストレスなく 誘導し、選手と一緒になってレースを楽しんでいる。青梅と同じように小菅村の皆さんも競技運営に参加し、それを楽しむこと、これなくして地域に根付いた 大会は生まれない。

コースチェックと草刈り作業

8月15日開催の「第4回東京ヒルクライムNARIKIステージ大会」が終わると、その翌週に私たちKFCとプロトレイルランナー宮地藤雄選手とで コースの草刈り作業を兼ねたコースチェックを行った。

普段からハイカーがあまり通らない山道は、特にスタート地点から“オマキ平”までの3〜4km は灌木や背の高い草が生い茂り、歩くことも困難な個所が多かった。手作業で相当刈り取ったが、時間がかかり過ぎ、残りは後日小島さんに草刈り機で刈り 取ってもらうことにした。どんな大会でも成功させるためには、ひたすら汗を流す地道な力作業を必要とする。

この日のコースチェックには8時間も要してしまった。鈍った体には相当に堪えた。その後、2〜3日は筋肉痛に苦しめられることになった。

【コースその1】タフな上り

スタート地点の東部森林公園キャンプ場(標高600m)から三頭山ハイキングコース(約1300m)までの約8km区間の上りがキツイ。約700mをひたすら上る。 そこから鶴峠(約900m)までは下りだ。下りも脚にくる。鶴峠から奈良倉山(約1300m)までは距離は短いが勾配は最もキツイ。約3kmで約400mも上る計算だ。

以降は大した上り下りはない。尾根伝いに松姫峠(約1250m)、鶴寝山(1368m)を抜けて、“山沢入りのヌタ”(約1300m)を目指す。

【コースその2】広葉樹の森と巨樹の森

スタート地点から奈良倉山までは杉の木が多いが、それ以降は広葉樹のブナやミズナラの森が広がっている。松姫峠以降は東京都の水源林として保護されており、 明治時代以来人の手が一切入っておらず、巨樹の森が広がっている。私たちはこの辺りを“ジュラシックパークの森”と呼んでいる。と云っても、恐竜はいないので、 ご安心を。

但し、野生の熊は生息しているので、山に入る場合はクマ鈴と携帯電話を忘れずに。安全第一。

【コースその3】栃の巨木とワサビ田

“山沢入りのヌタ”からは“小菅の湯”(約750m)まで延々と下りが続くことになる。コース途中には、屋久杉にも存在感では引けをとらない“栃の巨木” がある。この辺りの山道は昨年と比べると非常に走りやすく整備されている。

その後、水の綺麗な山沢川に沿ったワサビ田地帯を通り抜ける。山沢川は湧水が集まってできた川で、小さいが、綺麗な水が流れている。

小菅の湯からは小菅川沿いに造られた木道を通って、スタート地点でもあるキャンプ場でゴールとなる。木道の下には小菅川の綺麗な流れを見ることができる。 こんなに貴重な巨木と清流とに同時に触れることができる大会は他にはない。

【コースその4】美味しい湧水

コースチェックの時に松姫峠で携帯していた水が切れてしまった。昨年とは暑さが明らかに違う。

このコースには途中で水を補給する箇所がない。我慢して、 ワサビ田まで辿り着き、そこで手ですくって飲んだ山沢川の水は冷たくて美味かった。ゆうに1リットルは飲み干した。

絶好の大会日

レース当日は朝から快晴で絶好のトレラン日和となった。参加者も定員300人に達し、昨年に比べてにぎやかな大会になった。会場は標高が高いせいか、 湿気が少なく、高原ようにさわやかで気持ちが良かった。

レースはオンタイムの午前10時にスタートし、大きなハプニングもなく成功裏に終了した。レース中の 様子については、百聞は一見に如かずで、下記“レポート・フォト”をご覧んあれ。

昨年は松姫峠辺りの広葉樹に紅葉が少し始まっていたが、今年は猛暑のせいか、全く見られなかった。しかし、山から下りた小菅の湯辺りの村内では秋を 代表するピンク色のコスモスや白いソバの花が美しく、心癒された選手たちもいたようだ。

天気に感謝

後片付けが終わった3時頃からポツリポツリと雨が落ちてきた。屋外スポーツは、特に標高が高い山では晴天と雨天とでは天と地ほどの違いがある。 ラッキーだった。

【レポート・フォト】
【Special Thanks】

後援:小菅村、小菅村観光協会

協賛:西東京市役所トレイルランニングクラブ、JT、JSBM、小菅の湯、
   NPO法人多摩源流こすげ、佐藤スポーツ、ほうれん坊

写真提供:小野口健太