イベント報告

第3回MTBヒルクライム青梅高水山
3rd MTB Hillclimb Ome Mt.Takamizu !!
(2006年10月1日 曇り)


■参戦レポート   輪千レーシング・高倉豪(総合優勝)
スタート会場付近の風景「MTBヒルクライム青梅高水山」は地元で開催される数少ない自転車レースです。

2年前のレース以降一度もコースを走っていなかったので、前日に現地に試走に行きました。右膝に痛みが残っているので実走も2週間振りです。

レースコースは記憶に残っているものよりも勾配がきつい!試走なのでHR85%以内に抑えて走りましたが、2年前のタイムと比較すると同じ位のタイム。急勾配の未舗装路ではセミスリックのタイヤが滑ってしまうのですが、前半半分が舗装路なのでレースもセミスリックで走ることにしました。



急勾配のなちゃぎり林道を行く選手当日は初参加の弟と一緒に家から自走で会場入り。今年はスポーツエントリーにも掲載されたので、関東近県からもMTBヒルクライムの上位常連選手がエントリーしていました。うちのリームからは3名の参加。

スタートは、2列目からチームメイトや元プロトライアスリートの宮塚選手と一緒にスタート。

スタート直後の急な登りを2-3名の選手がダンシングで飛び出して行きます。「最初から飛ばし過ぎは禁物」と思いながら走っていると、1kmも行かないうちに先頭に追いついてしまいました。

ここで高校生の片山選手が軽い足取りでトップへ。この選手とは昨年のXTERRA世界選手権で会って顔見知りだったので「このまま2人でペース上げよう」と声をかけてしばらく一緒に走りました。2kmあたりから、片山選手のペースが落ち始めて、後ろから他の選手も数名上がってきたので、1人で逃げる事にしました。


マイペース風で頑張る選手セミスリックのタイヤに3.8気圧も空気を入れたので、未舗装路に入るまでに差をつけておかないと、最後に抜かれる可能性があります。先頭を1人で逃げるのも辛いのですが、途中まではコースもわかっているので、その点は安心。舗装路の終盤には、道路に参加者の名前がチョークでペイントしてあります。私の名前もありました。気分はグラン・ツールです!

未舗装路に入り開けたコーナーで後続を確認すると、2位の選手が徐々に近づいてきている様子、差は100m程。「急勾配の未舗装路で追いつかれると嫌だな」と思いましたが、スピードを落とさずに問題の急勾配の箇所を過ぎると、逆に差は広がり後続は見えなくなりました。

普段は閉まっているゲートを越えると、いよいよ試走できなかった区間に突入。最初の数100mは15-20%強の劇坂!インナー・ローでタイヤを滑らせないようにしながら登ります。登り切るといよいよシングルトラックへ。


トップでゴールに飛び込む高倉選手普通のシングルトラックなのですが、高気圧のタイヤはかなり滑るので転ばないようにゆっくり進みます。木の根や岩も多いのですが、事前に黄色でペイントしてあったので助かりました。

シングルトラックの途中、登れない箇所が2箇所ありましたが、無理せずに早めにMTBを下りて担ぎ上げ、無事1位でゴール。2位は片山選手、総合3位は片山選手の弟でした。私の弟も8位でゴール。昨年の1位、2位、3位が今年は6位、9位、10位だったのでレベルが上がったようです。

地元青梅で素晴らしい大会を開催していただいた関係者の方々、コース設営やコース案内に協力していただいたボランティアの皆様、ありがとうございました。

【レース結果はこちら





■KFC徒然
スタート地点に掲げられた横断幕9月30日(大会前日)、翌日の準備のため、私たちスタッフは午前10時頃に高水山常福院の駐車場へ集合した。皆一応に翌日の天気を気に掛けながら、コース整備やゴール地点設営の準備に取り掛かります。

アウトドアのスポーツは、特に、山系のスポーツは天候に大きく左右されます。天気が良ければ、気分も爽やかで最高なのですが、逆に、雨が降れば、それだけで気分は暗〜く落ち込みます。自分たちの所為ではないにしろ、遥々遠くから来てくれた参加者には申し訳なく思ってしまいます。それに、この時期の山の上は気温が下がり、秋とは思えないほど、寒くなります。だから、一週間ほど前から天気の動向にはたいへんに気になってしまいます。




いつものスタート直前の風景昨年は高水山山頂付近をゴール地点としましたが、今年は岩茸石山まで、距離にして数百m奥に延ばしました。少し広くなっている場所をゴール地点に決めて、そこへテントを運んで設置します。そして、その辺りの樹木を利用して横断幕を張ります。

その次は、普段はハイキングコースになっている高水山の巻き道の危険な箇所を数十mに亘って、崖側にロープを張り、選手が落ちても大丈夫なように、さらに、念には念を入れて防護ネットを設置します。

1年前には、この部分の山道は山肌の土が崩れて道がほとんどなくなり、一見、斜面のようになっていました。それを山スペシャリストのスタッフが、2〜3ヶ月前から暇を見つけては、土嚢を積んだり、杭を打ったりして、人が通れるような山道に修復するための作業を続けてきました。次に、コース上の危険な箇所である岩や木の根っこが剥き出しになっている部分にマーキングを施したり、小麦粉で矢印を書いたりします。

レース前日のこの日は天気がよく、山仕事には打って付けの日でした。暖かく、気持ちよく、作業が捗りました。スタッフの一人が昼飯用にとカップラーメンを用意していたので、作業が大方片付いた頃、お湯を沸かして、皆で食べました。山で食べる熱いラーメンは格別に美味い!

トップを行く高倉豪選手と片山草太選手の争い山作業に来ていない他のスタッフは翌日に使う備品の準備をしています。パソコン、計測器、参加賞、メダル、受付簿、カラーコーン、救急箱、誘導棒、紙コップ、ポリタンク、テーブル、ゴミ袋、スピーカー等々です。

翌10月1日(日)、スタッフ全員が早朝に家を出て受付会場である「上成木ふれあいセンター」に集ってきます。到着すると、すぐに、ふれあいセンターの玄関先にテーブルを設置し、受付簿や参加賞を用意したりして受付の準備にかかります。

他のスタッフたちは高水山に上がり、シングルトラック部分の最終コースチェック等々の準備をします。皆、それぞれの役割を自覚しており、阿吽の呼吸で、テキパキと大会運営表に従って準備作業をこなしていきます。



4km地点の激坂をいく選手また、この度も、料理上手のスタッフから朝食として、スタッフ全員分のサンドイッチやおにぎりの差し入れがありました。このおにぎりやサンドイッチは柔らかさが絶妙で美味いのです。「腹が減っては戦ができぬ」で、おしゃべりしながら合間合間に腹ごしらえをします。皆、密かに、この差し入れを楽しみにしているのです。

8時頃になると参加者が続々と受付にやって来きます。晴れてはいないが、雨は降っていない。何とかレースが終わるまで持ちそうな雰囲気、雨だけは降らないでくれと祈る。


今年の参加賞は帽子とスポーツドリンク「VAAM」とタオルです。目玉賞品はマウンテンバイクで、レース終了後に、参加者全員で勝ち抜きジャンケンをして最後まで勝ち残った人がゲットすることになります。



前を行くのは70歳の由利正助選手、超元気!9時頃のバスで、上成木バス停に関東一円からボランティアの学生たちが男女合わせて16名集まってきます。東京都内だけでなく、千葉の成田市、神奈川県の鎌倉などからも、早朝から何時間もかけて遥々と高水山までやってきてくれます。「東京」をイメージしてやってきた学生は、皆一応に成木地区の濃い緑の自然やJR駅からの遠さに驚いています。

なぜ、それほど遠くからやってくるのかというと、この大会にボランティアとして参加すれば、各大学や専門学校での課外活動の単位が習得できるのです。この大会はちょっとした社会貢献にもなっているのです。





シングルトラックといく選手たち9時過ぎから学生ボランティアを山頂コースに運び上げて、予め決めておいた配置場所に着かせます。そうこうしている内に、スタート時間が近づいてきます。参加者から預かった荷物を常福院駐車場へ搬送します。また、受付スタッフはタイム計測をするため、受付終了後直ちに、岩茸石山付近のゴール地点へと急いで移動します。10時前には、ふれあいセンターの駐車場の隅で参加者を集めて簡単な競技説明会を行ないます。その後、すぐに、200〜300m離れたスタート場所であるなちゃぎり林道始点に移動します。


この道路脇には美しい清流の成木川が流れています。この川は渓流釣りでも非常に有名な川で山女や鮎などが釣れます。この川の水源はスタート地点から渓流に沿って約5km奥に上がった所にあり、ここではそのまま飲むこともできます。


滑落防護ネットの傍を行く競技は10時20分にスタート。トップの数人はなちゃぎり林道の急坂を、まるでモーターバイクのようなスピードでぐんぐん駆け上っていきます。人間業とは思えなません。なちゃぎり林道を登りきった選手たちは常福院駐車場を通り抜けて、高水山の巻き道であるシングルトラックを抜け、岩茸石山まで、休むことなくペダルを廻し続けます。

一般の部トップは地元青梅の高倉豪選手(35歳)で26分09秒でした。2位は川崎市から参加の片山草太選手(17歳)、3位は長野県から参加の戸田靖選手(42歳)で27分17秒でした。最年長は秩父市から参加の引間英太郎選手の72歳でした。


今年新たに追加されたシングルトラック・コース女子は、優勝があきる野市から参加の森田晴海選手(42歳)で40分39秒、2位は三鷹市から参加の高橋留美選手(44歳)で42分56秒、3位は横浜市から参加の椛島君江選手(37歳)で45分20秒でした。

中学生の部は、草太選手の弟片山風人選手(15歳)で総合でも3位、26分42秒という好タイムでした。女子は山崎芙蓉選手でした。

小学生の部は、入間市の細田愛未ちゃん(11歳)で45分44秒でした。大人に混じって、急坂も降りずによく頑張っていました。



頑張る山崎美緒ちゃんと芙蓉ちゃん姉妹最年少選手は、神奈川県津久井郡から参加の山崎美緒ちゃん10歳(小学生5年生)で1時間19分24秒した。

一緒に参加した中学1年生のお姉ちゃんに励まされながら、小さい身体でよく頑張ってゴールしました。お姉ちゃんの芙蓉ちゃんは、将来はトライアスロンのオリンピック出場を目指しているくらいの実力の持ち主ですが、自分だけ先行することはせず、一杯いっぱいの状態で頑張っている小さい妹に声を掛けながら付き添ってゴールしました。今年も常福院住職からゴールした人全員に絵馬がプレゼントされました。




大人に混じって頑張る細田愛未ちゃん準備には多くの時間を要しますが、本番の競技はあっと言う間に終わってしまいます。ちょっと寂しい気がします。しかし、このコースでは、これ以上の距離の確保は困難です。

全員がゴールした後、タイム計測チームは、表彰式のための結果表作りに最優先で取り掛かります。毎年のことですが、住職さんに常福院境内にある庫裏(境内にある建物のこと)を貸してもらいパソコンを使って行います。その他のスタッフはテキパキと後片付けに入ります。テントや横断幕の撤収、危険箇所の防護ネットの撤収等々です。



高水山常福院の可愛い絵馬参加者は表彰式の準備が整うまで、常福院境内にある東屋で、宮塚英也さんによるバイククリニックを受講してもらいます。日本トライアスロン界の一時代を築いたという実績に裏打ちされた宮塚さんの話には、いつもながら納得するモノがあります。バイク・ポジションのセッティングから始まり、最後は各選手からの質問に応えるという充実した内容です。皆、熱心に聞き入っていました。

生憎、クリニックが始まると同時に雨がポツポツ落ちてきました。小雨だったので、そのままクリニックを続けてもらい、結果表作りを急ぐことにしました。40分くらいで、結果票が出来上がりました。寒くなってきたので、クリニック終了と同時に、急いで表彰式を執り行いました。

最後に行なったマウンテンバイクを賭けた「勝ち抜きジャンケン大会」は一時寒さを忘れて盛り上がりました。結局、最後まで勝ち残りマウンテンバイクをゲットされたラッキーな選手は女子優勝の森田晴海選手でした。



なちゃぎり林道脇に咲き乱れる可憐な萩の花今年も参加者57名という小じんまりした大会でしたが、とても良い大会になったと思います。それは常福院住職の清水さん、成木7丁目の皆さん、ボランティアの皆さんの力によるところが非常に大きく、スタッフ一同とても感謝した一日でした。

今年は大会当日の朝、バイクがスリップしないようにと竹林付近のコース上を箒で掃いて下さっていた地元のおじさんやおばさん、また、スタート周りを手伝って下さった自治会の人たちや子供たちにも感謝です。それに、いつもスタート地点のなちゃぎり林道入口に横断幕を張って下さる森林組合の中島さんにも、大感謝です。



選手の皆さん、これを機に、時間を見つけて、高水山や成木地区を訪ねてみて下さい。山頂にある常福院は皇太子さまと雅子さまも訪れたことがある由緒あるお寺なのです。

また、このレースに使っているなちゃぎり林道は知る人ぞ知る隠れた萩の名所で、林道脇には可愛いピンクの萩の花が満開の季節です。のんびりハイキングを楽しむには絶好の林道です。レース中、歯を食いしばって駆け上がっている選手の皆さんには、目に入らないのが残念ですが・・・。


スタート地点脇を流れる清流成木川の川面さらに、麓にある清流成木川に沿って走っている成木街道は自転車の練習コースとして有名で、週末にはカラフルなウェアを身に着けた自転車乗りがたくさん練習に集まってきます。関東一円の自転車練習のメッカでもあります。

また、成木トンネル手前の急坂の下には「やまじょう」という築100年以上という木造家屋の素敵な民宿もあります。ここに泊まって、バイク練習の合宿をしたり、高水山や成木川沿いの散策なども楽しいですよ。地元の私たちも時々お世話になっているくらいです。ご飯は最高ですよ。


自転車が好きな方も、そうでない方も、私たちのお気に入りの青梅成木地区の自然を満喫しに来て下さい。
では、自転車乗りの皆さん、来年も秋の高水山でお会いしましょう。




高水山山頂付近での宮塚クリニック風景【参加者Mからの感想メール】
近場での大会ですので、是非、と思いエントリーしてみました。きつかったけど、ゴールまでのオフロードコースはMTBならではのヒルクライムでおもしろかったです。

宮塚さんのバイククリニックは、たいへんいいお話が聞けました。反応がうすくて、宮塚さんはお困りだったかもしれませんが、私達はちょうど今疑問に思っていることばかりのお話で、納得、納得。参加して良かったです。

家族的な雰囲気の大会で、参加の選手の皆さんも礼儀正しく、いい雰囲気だったと思います。
ありがとうございました。



Special Thanks to 高水山常福院、成木7丁目自治会、東京都森林組合青梅事務所、民宿やまじょう、スタッフ・ボランティアの皆様

写真提供:舘岡正俊、市川幸次