今日は朝から天気が良いので、7時から洗濯機を三回回した。何せ天気がずっと悪く、出来なかったからだ。その間、先生はパソコンを打ちに
大家さんところの庭に行ったり、キンは昼ご飯と晩御飯の用意をしたり、家計簿付け、blogの更新などいろいろやって、ビーチに行ったのは11時を
回っていた。今日はオフなので泳ぐ必要もなく、慌ててない。風が強く、ラフウオーターの中、皆は練習していた。
リズは、今回のダブル(2-way)は天候が悪く、泳ぐのは無理みたいで、来年に予定を変えたそうである。そう、今回の潮で、ドーバー海峡を
泳いだ人は、まだ誰もいない。たまたま私たちは一ヶ月の滞在で二回泳ぐ予定だが、普通なら小潮に合わせて10日から二週間の滞在が一般的である。
その間天候が悪ければ、泳がずに帰ることになる。今回はそんなスイマーが多そう。
私たちが到着した翌日(8月17日)から泳ぐ期間(小潮)が始まって、8日間(25日)で終わる。もう10日が過ぎようとしているが、
一向に天候は回復しない。今回泳ぐ予定のスイマーたちの会話は、「来年の予定」に内容が変わっていた。「来年また会いましょう」と。
そういえばニールが土曜日に言っていたなぁ〜。「後一週間から10日は天気が悪い。でも、その後は落ち着くと思う。ミユキも天候が良かったら、
ダブルにチャレンジするか?」と。「ハイ」と私は答えたが。何故だか私が泳ぐ時は天候が悪く、いつも待ちぼうけだが、リズみたいに天候が悪い
ために泳がずに帰らなくてはいけない人は、たくさんいるんだろうな。イギリス人だったら近いから良いけどね。一年に一回のチャンスは逃したく
ないが、天候だけは誰もわからない。
今日は泳ぐ仲間と集合写真を撮り、ビーチは賑やかだった。やはり、一日に一回は顔を出さなくてはいけない。シャッターチャンスを逃す
ところだ。散歩しながら買い物。去年はなかった中国のお店屋さんを見つけたよ。サイパンでは中国のお店屋さんでよく買い物をする私。
同じような品物がたくさん売っている。びっくりしたことは、日本語では書いていないが、日本のバーモントカレー、スルメ、味の素、すき焼き
のたれ、出前一丁、ナガラヤの豆、コーンスターチ、白菜キムチの瓶詰め、ガリの瓶詰め、素麺など、日本食が売っているじゃないか!
嬉しさの反面、「こんな店がなくても生活出来る」という自分に腹立たしい。素直に喜べば良いのに、パン粉が売ってないから、私はパンの切れ端
で作っていたが、この店にはパン粉が売っていた。すき焼きのタレは日本から持って来なくても自分で醤油と砂糖で味付けして、すき焼きもどきも
作って残りの汁でうどんを入れて食べたよ。何かそんなことしなくても簡単に手に入ることに腹立たしかった。
このお店で私はコーンスターチ、辛ラーメン、白菜キムチの瓶詰めを買った。何故かというと、乾燥のキクラゲを持って来たので八宝菜が作り
たかったからである。そう乾燥キクラゲも売っていましたよ。
ただ来年もこの店があるわけではないので、同じような食材はまた日本から持ってくるけどね。海に出る荷物の基本は「晴れでも雨支度」、
「夏でも冬支度」。いかなることを想定して、準備万端整えよ。ということなのである。生活の準備も一緒。基本は「準備万端整えよ」なのだ。
昼ご飯は味ご飯。にんじんとマシュルームと鶏肉しか入ってないけど、美味しかったよ。炊飯器がないから鍋で炊くんだけどね。
上手く出来ましたよ。それからホワイトクリフに一時間半散歩して疲れて帰って来て、辛ラーメンを作りました。まさかドーバーでラーメンが
食べられるとは思ってなく、幸せでした。その残りつゆに味ご飯の残りを入れて、明日の朝はオジヤです。捨てる物は何もないですよ。
■洗濯曜日(トラ)
昨日の「明るいアメリカ人」は、名前を“ブライアン(Bryan D Bachman)”と言う。どうも最近は健忘症が進んで、何回名前を聞いても
覚えられない。困ったものだ・・・。
さて、今日は久しぶり(初めてかな?)に朝から天気が良かった。とは言っても天気予報ではイギリス全土を丸呑みしそうな大型の
移動性低気圧(日本で言う台風並みの低気圧)が接近しつつあった。「嵐の前の静けさ」と言いたいが、相変わらず風は強かった。すなわち、
今日、ドーバー海峡を泳いで横断する人は居ない。と言うことだ。
「今日は洗濯をするぞ!」と心に誓った。何故ならば悪天候の谷間の晴れ、「この日に洗濯しないでいつ出来よう」と思ったからだった。
そのくらい洗濯物は溜まっていたし、すでに着る服はなくなっていた。最悪の場合はコインランドリーに行って乾燥機にかけてしまうことだが、
やはりお日様の匂いのする洗濯物が気持ち良い。キンちゃんも「今日こそは泳がない!」と言ってくれたのもあって、朝から洗濯機を3回廻した。
イギリスでは洗濯物を、人の目にはばかって干す習慣がある。つまり人目のつく道路沿いなどは干さず、“裏口で干す”というか、
庭や人目のつかない物干し場に干す。少し脱線する、今から20年前、まだ私の父親が元気だった頃、帰郷すると、“必ず”と言って良いほど実家の
ベランダには父親の越中褌(ふんどし)が風にたなびいてヒラヒラと舞っていた。それが私には「幸せの黄色いハンカチ」ならぬ、「幸せの白い褌」
であった。「ああ、父親も母親も元気だ」。そんなサインを越中褌は世間に送信していた。イギリスではそんなサインはないだろうな?言っていること
が「バリーの家のような閑静な家に住みたい」と言いつつも、何処か庶民的な匂いも捨てがたい私ではあった。
イギリスの話に戻そう。イギリスの多くの物干しはパラソルのような形をしている。まあパラソルと言っても骨は4本しかなく、その骨を、渦巻状に
紐がくくられている。つまり干す人の立場に立つと、芯(中心)の方から干して行き、物干しをクルクル廻しながら外側の紐に移動して干すだけなので、
日本のものより断然移動距離は少ない。津軽海峡沿岸に住む人たちに、「昆布を天日干しにするためのクルクル回る物干し」と言った方がピンとくる
かも知れない。(かなりローカルだが・・・)
いずれにせよすべての洗濯が終わり、すべての洗濯物を干すと、洗濯物が気持ち良さそうにお日様の光を浴び、風に吹かれてヒラヒラと舞っている。
そんな光景を見るのは気持ちが良い。もちろん、そんな気持ち良さを味わったのは11時近くだったが、洗った洗濯物を干しに裏の物干し場まで外を
運んでいるとき、まさにこれから海に行こうとしているマイク(アメリカ人)に会った。
マイク「ミユキはまだ海に行かないの?」私「今、洗濯をしているからね。終わったら行くよ。」マイク「OK! ビーチで会おう」
そんな約束をしてしまったものだから、ビーチへは行かないわけにいかない。
実際ビーチに着いたのは11時半くらいだろうか。すでにほとんどのスイマーが泳ぎ終わってビーチで会話の団欒を楽しんでいた。そのうちメキシコ人
の一人が「チャネルスイマーの記念撮影をしよう!」と言い始めた。メキシコ、インド、アメリカ、イギリス、日本、いろいろな国々のスイマーが
並んだ。やはりドーバーはインターナショナルなのだ。
練習の終わった帰り道。昨日は途中から雨降りで退散したため、キンちゃんは“買い物散歩”に欲求不満だったようだ。「もっと遠くまで行って
みよう」と言うので、ちょっと遠いスーパーまで行ってみることにした。こちらの方が少し安い。ところがキンちゃんの目的はもう一つあって、
スーパーまで行く途中の洋服屋さんを覗くことと、スーパーの前にある専門店街を覗くことだった。やはりキンちゃんも女性だった。
中でも最もキンちゃんが足を止めたのは、専門店街の中にある中国食料品店だった。この店は去年までなかった。もっともこの専門店街の店舗は
入れ替えが激しいので、この中国食料品店がいつまでもつか不明だが・・・。
中に入って驚いたのは、“中国食料品”だけではなく、“東南アジア食料品”が扱われている主な商品だったことだ。すなわち韓国製のキムチも
あれば、日本製のラーメンもある。キンちゃんが欲しがっていて、テスコの日本食コーナーにも何処にも売っていなくて、自分でボソボソと作っていた
パン粉も売っている。しかも日本製。
ドーバーには「アジアンフーズ」と呼ばれるアジア食料品店はあるが、扱っている商品はほとんど西アジアのもので、主に中東の人たちを相手にした
食料品店だと思う。イギリスには中東から出稼ぎに来たのだと思われる労働者が多い。
キンちゃんはこの中国食料品店でキムチとインスタントラーメンと片栗粉を買った。パン粉は自分でこしらえていたこともあって、意地でも買わな
かった。ちなみにドーバーでもカップラーメンは売っている。何処製だか不明だが、ハッキリ言って、まったく口に合わない。それが「イギリス人に
合わせた味」と言うならば、私はイギリス人の味覚を疑わなければならない。
宿に戻って昼食を取る。すると珍しくキンちゃんが再び「散歩に行きたい」と言い始めた。おお、珍しい!! おそらくこの言葉はあと
100年は聞かれないであろう。水上は得意でも、陸上は大の苦手なキンちゃんが言い始めたのだから、この奇跡は実現しなければ!!
私たちが滞在しているアパートの住所は“お城通り10番地”。すなわち丘の上のドーバー城に上がる坂道の入り口にあるのだ。ドーバー城の入り口
までは上り坂と急階段を上がれば10分で到着できる。
もちろん“トド”のキンちゃんがそんなところまで「上がろう」なんて、口が裂けても言うとは思わなかった。ところが奇跡的に、今回は
「上がりたい」と言ったものだから、夏に赤い雪が降ったようなものだ。
キンちゃんの目標はドーバー城の向こうのホワイトクリフに上がること。そこはいつだかバリーがクルマで連れて行ってくれたところで、
眼下にドーバー港を臨むことが出来、フランスの大陸が手でつかめるように眺めることが出来る。とても素晴らしい景色のところなのだ。
いつだか私は一人で散歩をしながらそのホワイトクリフまで上がったことがある。それは今回の散歩コースと一緒で、ドーバー城の裏から谷を下り、
再び丘に上がってようやくたどり着く。帰りは海沿いに下って行くと、行きの半分以下の時間で宿まで戻ることが出来た。そんな素晴らしい景色を
キンちゃんにも見せたくて、帰りの道、すなわち海沿いに上がるコースでならキンちゃんを何回か連れて行ったことがある。
そこのキンちゃんは「難コースで行きたい」と言ったので出かけた。すでにドーバー城の裏側にたどり着いたとき、キンちゃんはヘロヘロになって
いて、谷を通り越したときには私のずっと後ろを歩いていた。丘を上がっているときは後ろから「まだぁ〜!?」と大きな声が聞こえる。
「もう少しだ!」と元気付けて、最後には手を引いてホワイトクリフの上にたどり着いた。晴れてはいたが、風が強く、フランスを眺めることは
出来なかった。眼前に広がるドーバー海峡は大荒れに荒れ狂っていたが、高いところから眺める景色は気持ちが良かった。
帰りはもちろん海沿いのショートコース。宿に戻ると二人ともキムチをつまみにビールを飲んで、予想外に口にするラーメンを食べると、
そのままベッドに潜り込んだ。何だかイギリスに居る気がしない・・・と思いながら。