KFCトライアスロンクラブが考えるトレイルラン

来年の2010年度「第12回Lafuma青梅高水山トレイルラン」に関して、「ハセツネ72k」の予選会レースと称した「第2回ハセツネ30K」と 開催日が重なったことについて、 多くの方からお問い合わせをいただいています。 最近、愛好者が増えてきているとみなさんが感じ始めているトレイルランですが、 日本国内においては他のスポーツと比べてまだまだマイナーだと言えます。 トレイルランというスポーツに対する理解を深めたり、 愛好者を増やすチャンスである今、広く知られた二つの大会が同一日に行われる (いずれか一方にしかエントリーできない)ことに対して、 みなさんが困惑されるのも無理からぬことです。

2010年度の「青梅高水山トレイルラン」については、今年(2009年4月5日)の大会終了後、まもなく2010年4月4日の開催を決定し、 みなさんへのお知らせについても、今年5月1日からこのホームページ上で開始しました。すでに11回の開催を重ねている大会ですので、 青梅市や地域の行事にも組み込まれており、地元のみなさんとの打ち合わせの結果、来年も「恒例」の日程で開催しようとなったのは自然な流れです。

隣町あきる野市で開催される「第2回ハセツネ30K」の同一日程開催は、早くから2010年度の「青梅高水山トレイルラン」の開催日を告知してきた我々にとっては 「寝耳に水」の出来事でした。 1年間365日もあるのに、なぜ同じ日なのか、それも、隣町という関係ににありながらと感じたのは、我々だけでなく、 トレイルラン愛好家や青梅の地元自治会のみなさんも同じでした。

我々は他の大会のことを直接批評する立場にはありませんが、 今回のこと(同一開催日になったこと)に関連していただく問い合わせの根底には、 トレイルラン業界全体に対する考え方を問われているようにも思えます。

近年の「ハセツネ72k」は15,000円という高額な参加費、特定の山岳遭難保険(事務局指定以外は不可)への強制加入、 参加費収入が目的としか思えない予選会レース(ハセツネ30kを指す)等など、 トレイルラン人気を背景にして参加者への経済的負担を強要しているように思えます。

今、ハセツネを金儲け主義の大会と批判をする人はたくさんいます。我々の大会運営経験からしても、 昔からある山道(東京都のハイキングコース)を走るだけの大会に、これほど多額の経済的負担を参加者に課す理由はどこにも見当りません。 こんなことを続けていくと近い将来トレイルランというスポーツは人々から見放されてしまいます。

「ハセツネ72k」の場合、秩父多摩甲斐国立公園内を2000人以上の選手が一昼夜をかけて走るということを考慮すれば、 10km毎に簡易トイレの設置は最低限必要だろうし、さらにコース上に一昼夜張り付く多くのスタッフにも簡易トイレが必要なのはいうまでもありません。 これをやっていないのも金儲け主義の大会と批判される原因のひとつになっています。

当然のことながら、競技終了直後、コース上に汚れている箇所が数多くあります。いくら人目につきにくい山中と言えども、 これらは衛生上、放っておけない問題です。 将来、トレイルランがより多くの人たちに受け入れてもらえるためには、簡易トイレの充分な設置などの自然環境との調和に充分な気配りが必要です。

我々KFCトライアスロンクラブが開催するイベント(トレイルランだけでなくトライアスロン、バイク、オーシャンスイムなど)に 共通するキーワードは、「自然」と「人のつながり」です。 いずれの大会も(もちろん海外の大会も)この二つのキーワードなしには成り立ちません。

我々は決して山を占有利用しているわけではありません。 レースのときだけでなく、普段から山歩きや趣味としてのトレイルランを楽しむためにも、 自然との調和、地元のみなさんとの調和が大切と考えています。

もともとロタ島でのトライアスロン開催がきっかけでイベント開催を始めました。国内では青梅市周辺を中心として大会を開催しているのも、 我々としての地元への貢献(微力ながら)と、 長い時間をかけて、地元自治会といったレベルで醸成してきた地元の皆さんとの協力関係・人的ネットワークを 大切に考えているからです。完璧と言えるレベルではありませんが、経済効果や地域活性化にも貢献し、地元青梅の皆さんに喜ばれているとの自負があります。

そんな地域の事情があって、第2回大会の「ハセツネ30k」の突然の同一日開催は、我々やトレイルラン愛好家を困惑させただけでなく、 4月恒例になっている「青梅高水山トレイルラン」開催を楽しみにされている青梅の地元自治会の皆さんもたいへん困惑されています。

「驕る平家は久しからず」という諺が示すように近隣住民の心情、トレイルラン愛好家の心情、それに自然環境に気配りをしないとトレイルランの将来は 平家と同じ道を辿ることになります。野山という広範囲なフィールドを必要とするトレイルランは広く世間に受け入れてもらわなければ存続ができない スポーツと考えています。

代表 大西喜代一 2009年11月20日