沖縄には純粋に米軍基地の有様に反対している人も多くいるだろう。しかし、基地の存在を人質にして、不当にカネを得ようとしている輩も多くいるのでは、
という疑念が生じて来た。
前者は基地の存在で騒音や犯罪など直接的に被害を被っている人々だ。それに、洗脳されやすいピュアな若者たちだ。そして、
後者は地元政治家や地元財界人などの権力者だ。
昨年末、野田政権は24年度の内閣府沖縄振興予算から沖縄県への振興費として、沖縄の要求通り約3000億円を満額交付する方針を固めた。これに対して
沖縄県仲井真知事は「よくやってくれた。」とコメントした。
この上から目線のモノ言いは地方の組長が政府に対して発する言葉でない。
いつから沖縄はそんなに偉くなってしまったのか。そして、「このカネと普天間問題とは別物だ。」ともコメントした。
23年度当初予算では2300億円となっていた。ところが、仲井真が、暗に普天間問題を匂わせ700億円の上乗せを政府に要求したのだ。腰ぬけの民主党政権なら
どんな要求でも通ると踏んでのことだ。稚拙な野田政権は普天間問題での沖縄の軟化を期待してのものだ。
今、国家の最優先事項は、沖縄ではなく、東日本の復興だ。幾らカネがあっても足りない状況だ。野田としては、復興にカネが要るとして、
仲井真の要求を蹴るべきだった。これは筋の通った弁だ。後者の輩に幾らカネを与えても、前者の人たちを軟化せることは不可能だ。
結果として、仲井真は普天間を人質に政府から700億円もの大金を引き出したのだ。仲井真としては、“してやったり”と言ったところだ。
このカネは全て我々日本国民の税金から捻出されたものだ。
かつて、ケビン・メア(元米国務省日本部長)が沖縄を「ゆすりたかりの名人」と発言したのは、
あながちな間違いではなかったと思うになってきた。そして、古くは、弱小の琉球王朝が交易だけで繁栄したと云う歴史が示すように、
沖縄民族は交渉ごとに長けている民族だと云う事を忘れてはならない。
さらに、振興費の半分に当たる約1500億円ものカネが沖縄振興一括交付金という名目で沖縄が自由に使える性質のカネだ。これほど優遇されているのは
沖縄県以外、他の都道府県ではどこにもない。
昔も今も、このようなカネは権力者の懐へ転がり込むのが世に常だ。かつて、田中角栄、金丸信、小沢一郎など、
時の権力者たちがやったように、だ。
現在、沖縄の米軍基地で働いている人は約1万人。彼らの給与は日本政府の“思いやり予算”から拠出されている。
待遇は公務員と同等だから決して悪くはない。現在、失業率約10%と云う全国ワーストワンの沖縄で1万人を雇用してくれる米軍基地は優良企業だ。この状況下、
基地がなくなればどうなるのかは明白だ。
沖縄出身の友人によると、沖縄では米軍基地への就職を希望している若者が非常に多いと云う。そして、彼らの間では米軍基地勤務は一種のステータスに
なっていると云う。
さらに軍用地主(米軍に土地を提供している地主)が4万人ほどいる。日本政府から借地料として彼らへ年間約900億円という大金が支払われている。
そして、この借地料で喰っている地主が多いのも沖縄の現実だ。
実際、沖縄経済は米軍基地でもっているようなものだ。直接的なカネ、間接的なカネを合わせれば、日本政府から沖縄へ支払われるカネは相当な額になる。
しかし、大衆受けばかりを追求する日本のマスコミは、米軍基地による経済的メリットには触れず、基地反対騒動ばかりを伝えている。その映像には、
子供たちが頻繁に登場し、反対の弁を述べているシーンが多い。これも“やらせ”っぽく、どこか違和感を感じる。
日本の3大新聞もフクシマ原発事故が起こるまでは、当局による安全神話を伝えるだけで、正しい情報を全く伝えて来なかった。
同じ過ちを普天間問題でも繰り返しているのではなかろうか。
もし、沖縄県民が一丸となって、本気で米軍基地を追放したいのであれば、基地勤務の1万人が一斉にストを決行するか、辞表を提出すれば済むことだ。
そうなると基地機能はマヒし、米軍基地は、その性質上、即時撤退せざるを得なくなる。すなわち、
米軍基地存続の決定権は沖縄の人々が握っていると言っても過言ではない。
或いは、沖縄が独立すると云う究極の選択肢もある。万が一、独立しても米軍基地不要論を唱え続けるのかは、甚だ疑問だ。
いずれにせよ、基地問題を人質に日本政府からカネをむしり取ると云うのは如何なものか。